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「えっ」
びっくりして思わず声が出る
前のおじさんが怪訝そうに振り返る
「す、すみません」
という顔で会釈して
電話に出た
「…もしもし?」
「あー、吉村さん?」
「おつかれさまです」
「今…電話、大丈夫?」
「あっ、ちょっと場所移動しますね」
流石にエスカレーターで電話するのもアレなので、最寄りの階でおり、
連絡通路的なところへ出た
「…すみません、お待たせしました」
「ごめんねー急に電話しちゃって」
連絡通路は行き交う人が多く、色んな声がして、向こうの声も聞き取りにくい
「いえいえ」
「…今日、テストだったよね?どうだった?」
「まあ、なんとか…って感じですね」
「そう!ならよかった!実は結構心配してたからさー」
「えっ、そうなんですかあー?」
じんわりと嬉しくなる
でもそれと同時に別の感情
連絡通路から大きな時計台の針が見える
今は本来の試験時間が終わってから、20分が過ぎていた
ということは、他の人にも…
スマホを持つ手に力が入る
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