上り勾配

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「でもー、その問題のある人を、課長サンが野放しにしてるのがダメなんだよね あの人…名前なんだっけ」 「うーん…」 いつも課長って呼んでるから名前が出てこない 「俺も名前わかんないや。この間会ったけど…なんか影薄いじゃん? 流石に佐竹サンよりはマシだけど」 「なんか自分のことでいっぱいいっぱいって感じなんですかね? 比較的若い課長ですし」 「あー違う違う あの人は逆に課の数字、ポイントにしか興味ないから ポイントを稼げる人しか相手にしてないんだよね」 「え」 「だってホラ、あの課に営業エキスパート5人くらいいるけど、あの課長その全員に平等に接してる?」 そう言われると 「あんまりわからないですね」 「そうだなー、例えば、岩木さんと小室さんには優しいでしょ」 …言われてみれば 「あの2人は優秀で美人だから」 あ、そこ? 「佐竹サンはお世辞にも美人ではないし、タイプも違うから野放しってより、仕事押し付ける以外は必要最低限しか関わらないし 佐竹サンも自分の置かれている位置に不満があるから下に当たり散らしてるんじゃないの?」 「課長も佐竹サンも、結局は、自分の成績のことだけを考えて生き残って出世した人だから、部下を育てようとか、皆で良くしていこうとか1ミリも思ってないんだと思うよ」 『水を得た魚』 『立板に水』 の如く 一気に捲し立てた さすが新人採用とかの人事的なことをしているみたいなので、人間模様にかなり詳しいようだ しかし自分のいる部署がそんなところだとは… だからもう1人のリーダーさんは辞めちゃったのかも 新卒とかならまだしも、リーダーって立場なのに突然いなくなって意味がわからなかったけど、この話を聞いてストンと腑に落ちた気がした
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