第9話 またまた猫会議

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第9話 またまた猫会議

ハル「ん?どうしたドラ?何か便秘が解消された時みたいにすっきりした顔して?」 自分の定位置の椅子に座りながらハルが話しかけてきた。まだちょっと感傷的になってたのに台無しだ。 ドラ「お前は他に例えがないのか?う〇こぶつけてやろうか?」 ハル「は!さてはこの間レオの大事な猫じゃらしを壊したのばれたな?そんで許してもらったんだろ?お前気にしてたもんな…よかったじゃん!」 オレの肩をバンバン叩きながらハルは嬉しそうに言った。 ドラ「頼むから少し黙っててくれ…」 心の底からそう思う… 恐る恐るレオを見ると レオ「ドラ君?その話あとでゆっくり聞かせてくれるかな?」 笑顔でオレに言ってきた…どうやらさっきの話より怒らせてしまったようだ… レオ「気を取り直して会議始めるぞ?」 ドラ&ハル「おー!」 レオ「まず言っておきたい。今まで散々サリーにやられてきて、そのたびにオレ達は何回も集まってきたがオレは今回の会議が最後になると確信している」 ドラ「と申しますと?」 レオ「今回オレが考えてきた作戦が完璧だからだ!!!今回の作戦に比べたら今までの作戦なんて子供の遊びみたいなものだ。今回の作戦でついにオレ達はサリーを攻略し、そして念願の南向き一等地を手に入れるのだ!」 ドラ「す…すごい自信だ。けど…」 ハル「そうそう…毎回そんなこと言って結局失敗するんだよ」 オレとハルは半笑いでレオに言ってやった。 レオ「黙れ愚猫ども!今回の作戦名を発表するぞ?ずばり「試される家族愛~ドキドキ♡家族が突然訪ねてきた~」だ!」 ドラ「………」 ハル「………」 明らかに時が止まった…突っ込みたいところは山ほどあるが取り敢えず話を進めよう ドラ「家族ってオレとレオは野良だぞ?どういうことだ?」 ハル「っつうかよくそのテンションでそんなワード恥ずかしがらずに言えるよな」 今までで一番突拍子もないことを言い始めたので流石にオレとハルは口を挟んだ。しかしレオは全く気にすることなく話を続けた。 レオ「まぁ聞いてくれ。実は今回シゲルから面白そうなものが手に入ったと教えてもらってな…それがこれだ」 そういうと持ってきた大きなバックを開き始めた。最初は分からなかったがレオが取り出したものを広げるとオレとハルは度肝を抜かれた。なんとそこには、サリーと同じ犬種の等身大のぬいぐるみが姿を現したのだ! レオが続ける レオ「今回の作戦は、まずお腹に切れ目があるこのぬいぐるみを3匹で上からかぶって犬の格好をする。もちろん犬に少しでも見えるようにそれぞれ2足歩行にしてくれよ?順番は前からドラ、オレ、ハルにしよう。 そして、このままゆっくり敷地内に入りサリーに近づいて行く。当然サリーは気付き、最初は警戒するだろうがよく見たらなんと生き別れた兄弟にそっくりな犬がいる。それを見てあいつは言葉を失うだろう。 そこで先頭のドラが一言「大きくなったな…会いたかったぞ…」とサリーに声をかける。それを聞いたサリーは嬉しさのあまり我を忘れてオレ達に駆け寄ってくる。オレ達もサリーに駆け寄る。 そしていよいと対面ってときに「バッ」とぬいぐるみを脱ぎ捨ててサリーの前に姿を現す!あまりの出来事にびっくりして動けなくなるサリー。その一瞬を見逃さず事前に用意していたロープで3匹でサリーをぐるぐる巻きにして動けなくしてしまう。あとは動けなくなったサリーを何回かからかった後、堂々とハツの家に侵入し、オレ達の住処としてしまうって作戦だ。どうだ?完璧だろ?」 すべての話を聞いてオレとハルは顔を見合わせる。そしてレオに向かって2匹で声をかけた。 ドラ「いやいやほんとにお前ってやつは…」 ハル「ほんと一回言ってやろうと思ってたんだが…」 ドラ&ハル「マジで天才か?」 ハルと声が揃ってしまったのはいつぶりだろう。 ドラ「いける。いけるぞ!」 ハル「今回こそオレ達はサリーに勝つことができるんだ!バンザーイ!バンザーイ!」 レオ「おいおい、バンザイはハツの家の中でやろうぜ」 ドラ「おいおいかっこいいこと言ってくれちゃって~」 ハル「でもレオの言うとおりだよな!なぁなぁ、オレそのぬいぐるみかぶってみたい!」 レオ「そうだな。万が一にも失敗はないと思うけど少し練習してみるか?」 ドラ「だったらオレが見ててやるよ。ちょっと二人入ってみな?」 レオとハルは早速ぬいぐるみをかぶり始めた。 よそよそと2匹でお腹からぬいぐるみに入っていく。 ドラ「もうちょっと前と後ろで離れたほうがいいかも。重心はもう少し低め。」 レオ「こんな感じか?」 ドラ「そうそう。少し歩いてみな?」 ハル「ゆっくり動いてみようぜ」 ぎこちないがそれは練習で何とかなるだろう。 ドラ「おいおいオレにはサリーのお兄さんにしか見えねーぞ?」 客観的に見た感想を2匹に伝える。なんだか楽しくなってきた。 レオが出てきた。 レオ「今度オレが見てみるからドラも入ってみな?」 ドラ「そうか?」 中に入ってみると結構暗くて動きづらかった…あ!でも目のところに穴が開いていて、前が見えるようになっている。さすがレオは仕事が早い。ハルがオレの肩に前足をやってバランスを取っている。 レオ「ドラ、もう少し低めだな。ハルはもう少し上げて」 オレ達を見て、レオが細かく指示を出す。 ドラ「結構難しいな…」 ハル「慣れれば大丈夫だぞ」 レオ「ちょっとドラ声出してみ?」 ドラ「大きくなったな…会いたかったぞ…」 少し声を震わせながらオレは言ってみた。 レオ「ギャハハハハ…完璧じゃねーか」 それを聞いてオレとハルもぬいぐるみから抜け出した。 ドラ「よし、完璧だな。明日に備えて、今日は早めに解散しようぜ」 レオ&ハル「おー!」 こうして本日の猫会議もルンルン気分で終わりを迎えた。 しかし、 3匹でぬいぐるみに入って進んだら足は全部で6本になるんだが、それは不自然じゃないのか? サリーに兄弟がいることを誰か確認を取ったのか? そもそもオレの話す言葉はサリーに伝わるのか? この時の俺たちはあまりの興奮状態にこんなちょっと考えれば分かるような単純なことにさえ気づきもせずそれぞれの家に帰宅してしまった… そしてあっという間に作戦決行の夜がやってきた。
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