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第6話 反省会
オレ達はハツの家からまっすぐ作戦会議をやった神社へ戻ってきた…
安堵感と疲れから誰一人言葉を発するものはいなかった。
全員が一息つき、落ち着いたころオレはシャドーに声をかけた。
ドラ「シャドー今日はありがとうな。正直助かったわ。よく俺たちがハツの家にいるってわかったな?」
シャドー「………」
ハル「あー、オレがハツの家に向かっている途中に会ったから一緒に行かねーかなと思って声かけたんだよ。その時は断られたからハツの家で会ったときはびっくりしたわ」
寡黙なシャドーの代わりにハルが教えてくれた。
レオ「確かにここって時に現れてくれたから助かったよ。実はドラを助けられたのもシャドーが的確にオレ達に指示出してくれたからだったんだぞ?」
ドラ「そうだったのか…すまなかったな」
シャドー「…ハルから大体の流れを聞いたときに嫌な予感がしたから気になって寄ってみたんだ…」
ドラ「いや~作戦を聞いたときはいけると思ったんだけどなー」
この重たい空気を何とかしたくてレオに話を振ってみる。
レオ「途中まではよかったんだけどな…まさかあそこでハルが屁を出すとは思わなかったな~笑」
ドラ「ほんとだよ!途中まであんなにどや顔でオレ達を引っ張っていったのにな」
ハル「仕方ねーだろ?実は敷地内に移動してる時から我慢してたんだよ…」
ドラ「まじかよ!大体ハルのとこまで行ったとき、まだ残り香があったけどあれは相当な臭いだったぞ?何喰ったらあんな臭い出せるんだ??」
ハル「うるせーよ!大体全部オレが悪いみたいな感じの流れになってるけどレオの飛び蹴りもなかなか酷かったからな??何が「うそーん」だよ!」
レオ「はあ?オレはお前たちを助けようとして捨て身で動いたんだぞ??」
あれ?なんか話が穏やかじゃなくなってきた…
レオ「大体、ハルがドラを助けようと捨て身になったところなんてサリーに存在すら気付かれてなかっただろ!!」
ハル「うるせー!!あれはサリーがオレの素早い動きについて来れなかったんだよ、バカ猫!!」
レオ「んなわけねーだろ!デブ猫!!」
ついに2匹は胸ぐらをつかみあって声を荒げ始めた。ここはオレが止めるしかない!
ドラ「やめろ二人とも!今更そんなこと言っても仕方ないだろ??」
ハル「うるせー!お前だってオレが最後囮になろうとしたときにオレのこと心配していたくせに結局最後はオレに悪態ついてたからな?」
ドラ「そ…そうだっけ??汗」
レオ「オレも聞いたぞ!!確か「てめー、覚えてろ!!」だろ?」
ハル「助けるのかけなすのかどっちかにしろバカヤロー!!」
そういうとハルはオレの右ほほをはたいてきた。
何でオレは怒られてるんだ??
いやだめだ…ここでオレもやり返したらそれこそ収集がつかなくなってしまう。耐えろオレ!
痛むほほをさすりながらオレは思った…
レオ「そうだそうだ!!助けに行ったんなら最初にサリーが戻ってきたときに一騎打ちでもして倒しちまえばよかったんだ!」
そういってレオはオレの左ほほをはたいた。
無茶苦茶言いやがる…我慢だ…
ハル「この偽善者!」
我慢…我慢…
レオ「チキン野郎!」
我慢…我慢…
ハル「スケベ野郎!」
我慢…我慢…我慢…
レオ「キザ野郎!」
我慢…我慢…我慢…
ハル「チェリーボーイ!!!」
プチンッ
ドラ「それは関係ないだろ!!」
そう言ってオレはハルの頭を上から思いっきり引っ叩いた!
ドラ「てめーこそもう少しまともな作戦考えやがれ!!」
続いてレオに後ろ回し蹴りを喰らわせた!!
やってしまった…こうなってしまったらもう終わりだ…しかし、ここでひよったら男がすたる!
レオは起き上がったと同時にオレに飛び蹴りをしてきた!しかしそれを俺は華麗によける。するとオレの攻撃から起き上がったハルにレオの飛び蹴りがクリティカルヒットする。
ハル「グヘーッ…」
ハルはまた後ろに吹っ飛ぶ。
ハル「テメー!レオ、何しやがる!」
怒号とともに今度はハルがレオに頭突きをしようとする。しかし、今度は途中でつまづき方向が変わり横にいたオレの頭に強烈な頭突きを喰らわせた。
もうオレ達ですら誰にどんな攻撃をしているのか訳が分からなくなってきた…
そんなオレたちをシャドーが冷めた目で眺めている。
ドラ&レオ&ハル「ギャー、ギャー、ギャー」
シャドー「………」
ドラ&レオ&ハル「ギャー、ギャー、ギャー」
シャドー「………」
ドラ&レオ&ハル「ギャー、ギャー、ギャー」
シャドー「………」
オレはそろそろ馬鹿らしくなってきて、早くこのくだらない喧嘩を終わらせたくなってきた。しかし、振り上げた拳をどう収めていいのか正直分からなくなってきていた…オレには分かる…レオとハルもきっと同じ気持ちだのはずだ。
さぁ、どうしたものか…オレはハルの胸ぐらをつかみながらそんなことを考えていた。
その時シャドーが立ち上がり、オレ達に声をかけた。
シャドー「……そろそろオレは帰ることにする」
ドラ&レオ&ハル(よし!この喧嘩を終わらすチャンスだ!)
ドラ「そ…そうか…帰っちゃうのか…主役のシャドー君が帰っちゃうなら残念だけど今日は解散にするか~」
レオ「そ…そうだな…主役がいなくなるのはさびしいもんな~、な?ハル??」
ハル「確かにな…シャドーがいないんだったらかつ丼のかつ抜きみたいなもんだよな」
またこいつはわけわからないことを…このいい流れが止まったらどうするんだよ。
ドラ「ま…とりあえず、シャドー今日は本当にありがとう!解散!!!」
シャドー「…………」
シャドーはまっすぐこっちを見て、何か言いたそうだったが結局何も言わずに帰って行った。
結局オレ達は、最後の最後までシャドーに助けられっぱなしの1日だった…
ドラ「次の作戦会議は明日でいいか?」
シャドーを並んで見送りながら2匹に声をかけた。
レオ「そうだな…」
ハル「じゃあ、また明日な…」
なんだろう…この敗北感…
オレ達の作戦はまだまだ続く……
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