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第8話 本当の気持ち
会議に参加のためにいつもの神社に入っていく。
ドラ「おい~っす~」
中に入りながらオレはすでに到着していたレオに声をかける。
レオ「おい~っす」
ドラ「そのバカでかい荷物はなんだ?」
部屋に入ってきたときから気のになっていたのだが、レオが座っている椅子の横にレオよりでかいボストンバックが置いてあった。ってかどうやって持って来たんだ?近くにぼろぼろのスケボーもあるがこれを使ったのだろうか?
レオ「クックックッ…よくぞ聞いてくれた。詳しくはハルが来てから話すが今回の作戦はこいつを使ってとんでもないことをやってやろうと思ってよ!」
表情から今回の作戦の自信が伝わってきた。
ドラ「そっか…」
いつもであればレオの根拠のない自信にワクワクし、早く作戦を聞きたくてそわそわしていたが「こいつらはオレの個人的な目的のために何も知らないで協力してくれている…」
そう思うと今までと違い、今日は胸がズキッと痛んだ…
レオ「どうした暗い顔して?」
レオが声をかけてきた。
…こいつの前で隠し事なんてやっぱりできないよな。ほんとはハルが来てから話そうと思ったけど…そう思いオレは話し始めた。
ドラ「いや、今回の居場所探しなんだけど他にも候補先あったろ?」
レオ「なんだいきなり?まー…でもみんなで決めてハツ家にしたよな。そこからオレ達の挑戦が始まったんだよ!」
ドラ「そうなんだけど…ハツ家を最初に候補先に入れたのってオレだろ?会議の時には日当たりがいいとかもっともらしいことを言ってレオとハルに納得してもらったんだが…オレがハツ家に目を付けた本当の理由をお前らに言ってなかったんだよ…」
レオ「…?なんだよ本当の理由って??」
覚悟を決めてオレは話し出す。
ドラ「………ムギなんだよ」
レオ「は?ムギ??」
ドラ「…いや悪い。ちゃんと順を追って説明する…実は3年前くらいに一回オレは一匹でハツの家に侵入してるんだ…その時は遊び程度のつもりで入って行ったんだけど、途中でやっぱりサリーに見つかって追い掛け回されたんだよ」
レオ「………」
ドラ「ハツの家って敷地内に小屋があって、その裏に小さいビニールハウスがあるだろ?オレは何とかそのビニールハウスに逃げ込むことができたんだよ。この後どうやって敷地外に出ようと考えながらビニールハウスの中を徘徊してたんだけどその時に見つけちまってよ」
レオ「……何を見つけたんだ?」
ドラ「日光に当たって光輝いている青いバラを見つけたんだ…」
レオ「………」
ドラ「オレはあまりの美しさにしばらく見入っちまったんだ…そのあとどうやって逃げ出したのか正直覚えてないくらい青いバラの美しさがオレの中で衝撃だった。あとから調べてみたらハツが研究のためにあのビニールハウスで青いバラを育てていることを知った。
そして最近気付いたんだが、どうやらオレはムギのことが好きみたいな
んだ…オレはムギにどうしてもあの青いバラをプレゼントしてやりたい…」
レオ「………」
ドラ「つまりオレは好きな女のためにレオをハルを利用して、そのバラを手に入れようとした最低野郎なんだ…」
レオ「………」
ドラ「すまない…相棒…」
オレはあまりの申し訳なささにレオの顔を見ることができなかった…
レオはオレの話を聞き終わるとオレに向かって歩き出してきた。そしてオレの両肩にドンっと手を置いた!
な…殴られる…そう思った瞬間、
レオ「………素敵な話じゃないか」
へ????
恐る恐るレオの顔をのぞき込むと、レオは目にうっすら涙を浮かべていた。
レオ「ドラ…オレは今、猛烈に感動している!なんでもっと早く言ってくれなかったんだ!!好きな子に自分が最も美しいと思う1輪の花をプレゼントしたい!…素敵じゃないか。やばい…また涙が…それは絶対手に入れような!!」
ドラ「お…怒ってないのか??」
意外な展開に驚きながらオレはレオに聞いてみた…
レオ「???怒る??なんでだ???」
レオは本気でぽかんとした顔でオレに聞いてきた。
ドラ「いや、だって客観的にみたらオレは自分の目的のために友達を利用して危険な目に合わせてたんだぞ??」
レオ「いや、別にドラが会議の時に言ってたハツの家を手に入れた時のメリットは変わらないわけだし、もし仮にお前の言う通りオレ達がドラに利用されてたとしても別にかまわないぞ?
だって昨日もそうだがオレ達がピンチの時にお前はいつも体を張って助けようとしてくれるだろ?それは昔から変わらなくてその姿にオレ達は何回も助けられてる。だからオレ達はドラに何回利用されてたとしても何とも思わない。むしろドラの夢の手伝いができるならうれしいくらいだ。それはハルも一緒だ。」
ツー…自然と涙が出てきた…
オレはなんて素晴らしい仲間に出会えたのだろう…
レオ「ってか、そんなこと言われなくても分かっててほしいくらいだったけどな…お前、「もしかして仲間を利用しているかも」っていう罪悪感で暗くなってたのか?」
ドラ「(コクッ)」
涙で声も出ない…
レオ「馬鹿だな…ってかお前はいつもいざって時に気が小さくなるな。
そんなことまったく気にしなくていい!もっとオレ達との絆を信じろ!わかったか?」
ドラ「(コクッコクッ)」
レオ「でもお前の本当の気持ちが聞けて良かったよ。今度はもっと早く相談しろよ?それと今の話はハルには黙っておこう。あいつのことだからドラのために張り切って空回りする可能性があるからな」
ドラ「レオ…ありがとう」
レオ「おう…」
しばらくするとハルが到着した。
ハル「すま~ん…遅くなった~」
さあ、今日も猫会議を始めよう。
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