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僕が中学二年の時、ノエルは亡くなった。
拾い猫だから正確な年齢は分からなかったけれど、推定十一歳くらい、動物病院の先生によると老衰とのことだった。
ノエルの命がもう長くはないことは、亡くなる数ヶ月前から話はされていたから覚悟はしていたつもりだった。
けれど、たかだか十数年しか生きてない僕の覚悟なんて、圧倒的に足りていなくて、とても脆いものだった。ノエルがいなくなったことによる喪失感は、想像以上だった。
両親の前では我慢していたけれど、しばらくの間、夜ベッドに入る度に静かに泣いた。
目につく所にあるのが辛くて、ノエルの首輪はお菓子か何かの空き箱の中に入れて、勉強机の一番下の引き出しの、一番奥にしまい込んだ。
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