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 今現在は、僕、母さん、父さんの三人家族だけれど、僕が中学二年の時までは、もう一人いた。  正確には、もう一匹。  白と黒のはちわれ猫、名前はノエル。僕が四歳くらいの頃に、父さんがどこかからか拾ってきた。  ノエルという名前は、父さんが好きなどこかの国のロックバンドのメンバーからそのまま拝借したらしい。  家族で飼うんだからあなたの趣味全開の名前にしないで、と母さんからは文句を言われ、あの時は二人で随分揉めたんだと後から聞かされた。  僕が物心ついてから一番初めの記憶は、小さな身体をさらに縮こまらせるようにしてうずくまる猫を間に、真剣な顔でああでもないこうでもないと言い合う両親の姿だ。あれがまさに、ノエルを拾ってきて間もない頃だったんだろう。  だから僕とノエルは、一緒に成長していったようなものだった。  最初に一匹じゃなくて一人という言い方をしたのは、僕にとってノエルは、単なる飼い猫にとどまらない存在だったからだ。
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