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3 懺悔?
エリアは私を避けている。
それは前回と同じ。
私たちが禁じられた関係に陥ってしまうまでに4年の猶予がある。
「ん……」
裸同然の格好でベッドに寝転んだまま、窓から空を眺める。
豚の体液で汚された体を、浄めなければ。
「綺麗好きな幼妻」
呟いて、乾いた笑いが洩れた。
こんな事、エリアを救うためでなければ耐えられない。
侍女はもう、呼ばなくても風呂の支度をしてくれる。それだけ長く、それだけ多く、妖婦を演じている。
狂ってしまう……
それとも、もう、狂ってしまったかもしれない。
少なくとも体は汚れた快楽を受け入れるようになったし、自暴自棄になっている分、大胆にも邪悪にもなれた。私はもう、ふりではなく、エリアの憎む魔女になったのだ。
「……」
悲しがっていては駄目。
7年。
エリアを死に至らしめてしまった罪滅ぼしとしては、あまりにも短い贖罪だ。
7年目の処刑を免れ、8年後のエリアに会えたら、終わり。
安らかに眠れる。
「お湯加減はいかがですか?」
「気持ちいいわ……」
侍女たちの顔も、前回と同じ。
でも今回は、明らかに私を軽蔑しているのがわかる。
彼女たちを責める気持ちは、まったくなかった。
私も私を軽蔑している。
ヴェルガッソラはまだ私に夢中だ。でも結婚して2ヶ月目には愛妾通いが始まった。町や区画ごとに愛妾を囲っているのだから、仕事に出てそのまま誰かを抱いている。かけがえのない休憩時間だ。
私はまだ、妊娠していない。
妊娠さえしてしまえば、生まれるまでは穏やかに過ごせるのに。
男の子が生まれてしまえば……
「逃げちゃ駄目よ、フローラ」
自分に言い聞かせる。
この奇跡は私のために与えられたわけではないのだから。
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