3 懺悔?

1/2
前へ
/23ページ
次へ

3 懺悔?

 エリアは私を避けている。  それは前回と同じ。  私たちが禁じられた関係に陥ってしまうまでに4年の猶予がある。   「ん……」  裸同然の格好でベッドに寝転んだまま、窓から空を眺める。  豚の体液で汚された体を、浄めなければ。 「綺麗好きな幼妻」  呟いて、乾いた笑いが洩れた。  こんな事、エリアを救うためでなければ耐えられない。  侍女はもう、呼ばなくても風呂の支度をしてくれる。それだけ長く、それだけ多く、妖婦を演じている。  狂ってしまう……    それとも、もう、狂ってしまったかもしれない。  少なくとも体は汚れた快楽を受け入れるようになったし、自暴自棄になっている分、大胆にも邪悪にもなれた。私はもう、ふりではなく、エリアの憎む魔女になったのだ。 「……」  悲しがっていては駄目。  7年。  エリアを死に至らしめてしまった罪滅ぼしとしては、あまりにも短い贖罪だ。  7年目の処刑を免れ、8年後のエリアに会えたら、終わり。  安らかに眠れる。 「お湯加減はいかがですか?」 「気持ちいいわ……」  侍女たちの顔も、前回と同じ。  でも今回は、明らかに私を軽蔑しているのがわかる。  彼女たちを責める気持ちは、まったくなかった。  私も私を軽蔑している。  ヴェルガッソラはまだ私に夢中だ。でも結婚して2ヶ月目には愛妾通いが始まった。町や区画ごとに愛妾を囲っているのだから、仕事に出てそのまま誰かを抱いている。かけがえのない休憩時間だ。  私はまだ、妊娠していない。  妊娠さえしてしまえば、生まれるまでは穏やかに過ごせるのに。  男の子が生まれてしまえば…… 「逃げちゃ駄目よ、フローラ」  自分に言い聞かせる。  この奇跡は私のために与えられたわけではないのだから。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90人が本棚に入れています
本棚に追加