第33話 君の音【唯冬】

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「なるほどね……レストランでの仕返しをしたってわけか」 「だろうな。ひと気のない場所を探す。あの短絡的な思考タイプなら、千愛を閉じ込めるのが精いっぱいだ」 「仕返しとはなんだね!?」 焦る隈井先生に言った。 「先生。千愛は必ず見つけます。先生は千愛の他に出場している生徒もいるでしょう?席に戻った方がよろしいのでは?」 「しかし!」 「騒ぎになると他の出場者達が動揺するかもしれません」 「……わかった。必ず見つけられると約束してくれるな?」 「もちろんです」 納得してくれたのか、隈井先生は苦い顔で返事をして戻って行った。 後半の演奏が始まるアナウンスが流れた。 急がなくては――― 「関係者しか使わない場所はありますか?」 知久が女性スタッフの手をすっと握り、ほほ笑んだ。 「えっ、ええっ!ありますっ!こっちですっ!」 あっさり関係者しか入れない場所へ案内してくれた。 スタッフ控え室のドアの鍵はかかっておらず、そこにはいなかった。 「トイレや掃除用具が入ってるところにはいなかったよ」
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