第8話 激しさ

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唯冬(ゆいと)は私を連れて、カフェ『音の葉』を出ると店の前にとまっていた車の窓ガラスをノックした。 中には男の人が座っていて、まるっこいメガネをかけていて、分厚いスケジュール帳にせっせとなにかを書き込んでいるのが見える。 ノックされ、顔をあげてこちらを見た瞬間、驚きすぎて顔を車の窓ガラスにぶつけ、痛そうに鼻をさすってた。 「いたたたっ……って、あれっ……雪元(ゆきもと)千愛(ちさ)さん!?本物ですか!?」 ずり落ちそうなメガネを直しながら、さっと車の外に出るとドアを開けてくれた。 「ど、どうぞ!」 「どうしてお前が緊張してるんだ。宰田(さいだ)。これから知久(ともひさ)が演奏しているコンサートホールに行ってくれ」 「知久さんの?今からだとラストの曲にしか間に合いませんよ。しかも、途中からなんて……」 「どうせ俺と逢生(あお)の席はドア近くにしてあるだろ?こないと思ってるからな」
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