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ぽつ、ぽつと
雨の粒が木造の建物に叩きつけられて弾ける音がして、僕は顔を上げた。
ガラスの窓から、外が夕立で薄暗くなっているのが見える。
そういえば彼女と最初に出会った日も、こんなふうに雨が降っていた。
薄暗い空を眺めながら僕はぼんやりと昔のことを思い出した。
吸血鬼とは、人の生き血を糧に生きる化け物だ。それは不死の身体を持っていて頑丈であり、その肉体を滅ぼす方法は太陽の光を当てることしかない。
そんな化け物がこの世に存在していると発覚してから、人間は吸血鬼と戦い続けてきた。
人間と吸血鬼は相容れない関係なのだ。
戦争が始まって随分と時がたっても、二つの種族は決してお互いをわかり合うことはなかった。
結果、共存は実現せず。人間の勝利でこの戦いは終結した。
僕が生まれたのは、あれ程過酷だった吸血鬼と人間の戦争に終わりが見えてきた頃である。
その頃には吸血鬼のほとんどは人間に拘束されて、無理やり太陽の元に連れ出されて次々と殺されていたらしい。
しかし、吸血鬼の中には人間に紛れて生き延びる輩もいた。
吸血鬼は人間とそっくりな見た目をしているのだ。太陽のもとに出なければ、いくらでもやり過ごせる。個体によっては曇り空であれば、日中も外に出かけられるものもいる。
政府は生き残りの吸血鬼に報復されるのではないかという懸念に頭を悩ましていたのだが、それも僅かの間のことだった。
とある特殊能力を持った人物たちが解決することになる。
数年前に現れた吸血鬼ハンターという存在が、次々とヴァンパイアたちを見つけ出し捕縛していったのだ。彼らは、人間と吸血鬼の区別が一目でつくと言う。
それ以来、吸血鬼ハンターは重宝されるようになった。
さらに言えば吸血鬼ハンターは生まれながらの才能が必要となっているため、とても希少な人物として丁寧に扱われた。
そして、生まれながらにして才を持つそのハンターの中の一人が、僕なのである。
ただ僕は犯罪者であったため、優遇措置を受けることはできなかったのだが。まあ、人殺しをしていながらすんなり職につけたのは幸運だったと言えるだろう。
人を殺したことがある僕は、ずっと牢屋の中で人ならざる者への待遇を受けなければなかった。それが無くなり外を自由に動けるようになったのならば、二度とないほどのチャンスだろう。
そんな思惑で僕はその仕事に飛びつくように了承したのだ。
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