2.ピッピ君についての一考察

2/7

28人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
「今日はどうした? 俺の意見が聞きたいと、前もって訪問予約の連絡をしてくるなんて、珍しいじゃないか」 「そうなんです。ちょっと重大な案件を抱えておりましてですね、その…殺人事件なんですよ」 「殺人か。やれやれだな。 人々が自らの我を持ち活動する以上、避けられない忌むべき出来事ではあるな。  まぁ、概要を聞こうではありませんか」  ルートブリッジは、部屋の来客椅子に腰を下ろした。  雑然と取り散らかった教授の研究室は、学生から預かったレポートやら講義のための教材やら、紙の資料がやたらとうず高く積まれている。  歩き方を間違えれば書籍の雪崩に巻き込まれて遭難しそうな感じだ。 「今日はピッピが用事で出かけているから、私がティーを煎れよう。煎れ方に文句は言わぬこと。 …ったく、ピッピの奴、「ちょっと用事がありまして」だそうだ。ピッピのくせに生意気な」  教授が慣れない手付きでティーを煎れながらブツブツとピッピ君に対する不満が始まりそうだったので、衛士長は急いで教授の話を継いだ。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加