2.ピッピ君についての一考察

4/7
前へ
/114ページ
次へ
 勝手に教授の仕事を手伝うので便利遣いに在室させてはいるが、教授が言うには「私になついてそのまま居ついてしまった」と、野山で拾ってきた可愛い野良モンスターのような扱いを受けている。  ちなみにピッピ君のフォンデン家は、祖先はシティエイス帝国の隣国キハムドの名将、サンバブレウ将軍に仕えた四天王剣士の一人で、知る人ぞ知る名門の家柄らしく、栄華が没落した後、一族ごとこのシティエイスに移り住んできたとのことだ。  でも、ピッピ君は、そんな名家出身の武官にはとうてい見えず、さりとて頭脳明晰の文官タイプでもなく、あえて言うなら「出陣する武官の馬を引く係」のそのまた「何かあったときの予備の係」というあたりが妥当であろうと、教授と衛士長の間では話がまとまっていた。  実際、ピッピ君本人も、剣の腕前も学術知識もどちらもからっきしである。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加