2.ピッピ君についての一考察

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 チャーウィン教授もルートブリッジ衛士長も、帝国シティエイスの南端にあるニステイト郡出身で同郷である。  衛士長がニステイト郡部の衛兵だったころ、ある事件がきっかけで教授と知り合ったのだが、その事件に行き詰まっていた衛士長から二、三の状況項目を尋ねただけで、教授は事件の真相を言い当ててしまったことがあった。  以来、チャーウィン教授が異動し新たに着任した帝国学校があるこのネオヤードに衛士長に任ぜられ転勤になると、容疑者が特定しにくい難解な事件に出くわすたびに、これ幸いとばかりにルートブリッジは教授の元を訪れて事件について語り合うことにしている。  衛兵所では「ネオヤードに切れ者ルートブリッジ有り」なんて形容されているけれども、その陰にチャーウィン教授の存在があることは、ルートブリッジと親しい極一部の人間しか知らぬことであった。
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