1.衛士長、再び帝国学校へ

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 その行き着く先は、安易な揉め事は日常茶飯事で、暴力沙汰、強盗、ときに残念ながら些細な店先での口論から殺傷事件が起きることもある。  帝国シティエイスではこのような事件に対し、独自に制定した法規に基づいて速やかに解決を図る施設を各地に配置している。それが衛士所である。  ここ帝国シティエイスの帝都ネオヤードで衛士長の職を務めるルートブリッジは、少人数ながらも衛士部隊の一個師団を持つ部隊長である。他地域で応援の要請があれば手伝いにも向かうが、基本的にはこの帝都ネオヤードの商業繁華街を中心に、日夜警護を行っている。 ――俺は断然‘持たざる派’だな。給与はそこそこだし、満足いくところまではあと一歩、ってところか。  レンガで舗装された帝都ネオヤードのセンター大通りを往く人々を眺めながら、ルートブリッジはそう独り言をつぶやいた。が、すぐに「持たざる‘派’っておかしいか」と自らに対してツッコミを入れ、ひとりでクツクツと含み笑いをした。「‘派’は自分の自由意思の選択だもんな」
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