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そんなことをただ何とはなしに頭の中で考えを巡らせながら、大通りから脇へ入る路地まで歩を進めてきたルートブリッジは、目的の地に辿りつく間に必ず通る教会の尖がり屋根に、一匹のハーピーがバタバタと纏わりついているのを油断なく目視で確認した。
――平均的な大きさよりかなり小型のハーピー。
人間に危害を加える様子無く、何か餌になるものがあればと街に近づいてきたが、帝都に害成すモンスターが寄り付かぬようにと施された魔除けの呪法に引っ掛かって羽をバタつかせているのであろう。
「問題なしだ」と小声で自らに言い、ルートブリッジは一際大きな敷地の前で足を止めた。
冬も終わろうというのに風はまるでごうごうと獅子のように咆哮を立てながら、パインの大樹が綺麗に植えられた校庭の入り口に立つ門柱の間を吹き荒んでいく。
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