2.ピッピ君についての一考察

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2.ピッピ君についての一考察

「ああ、お入り」  部屋の中から教授の声がする。今日は前もって研究室を訪れることを知らせておいたため、教授は在室しているようだ。  もっとも、約束をしていても講義が長引いたり、熱心な学生が講義の内容について質問に来たりしたときは、来客があろうとそちらを最優先する人なのだ。  自分が受け持つ講義、受け持った学生の能力を進捗させることについては、とにかく熱心である。 ルートブリッジもそのお蔭で何十分も待たされることなどは茶飯事なので、今ではもうそれが当たり前となって慣れてしまった。 「やあ、ルート。時間通りだな」 「あ、今日はいらしたんですか教授。ご無沙汰しております」 「ご無沙汰って…この間も事件を解決してあげたばかりじゃないか。 あと、「今日はいらしたんですか」じゃないぞ衛士長! 君の方が話があるからと言って…」 「ええと、そうでしたっけ。ま、細かいことはいいじゃないですか」 軽口を叩くのも二人の間ではいつものことである。
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