推しに貢ぐのが生きがいですから!

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「やりたい事が見つかったから、もう辞める」 そんな事を突然、氷河から言われた。 意味が分からなかった。 そして俺様の経験上、俺様から離れて行く人間は二度と戻って来なかった。 俺様が足を舐めろといえばアレまで舐めて、俺様の元からべっとり離れないヤツか、最初から俺様の事を蛇蝎の如く毛嫌いして寄って来ないヤツ。 そして、俺様を知った上で離れて行くヤツ。 氷河はソレだと思った。 だから──氷河にタイマンを申し込み俺様が勝ったら「一生側にいろ」と言ったら。 何故か氷河に笑われた。 そして、氷河が勝ったら「有愛は落ち着いて仕事しろ」との事だった。 んで、丸一日殴り合って俺が氷河の脚を折って物理的にどこも行けなくしてやって、これで俺の勝ちだと思ったが。 氷河は俺様の胸中を見透かしたように「脚切られても、俺はここに留まらない」と宣言された。 ──俺様の負けだと思った。 どうやっても勝てる気がしなかった。 氷河の居ない族なんて面白くも何ともなくて。 時期的にも家からロシアに戻って来いと煩かったので、氷河の約束通り仕事に就いた。 もとより酒が好きだったので。 それに関係する仕事をテキトーに始めた。 いざやってみると金を転がすのと今、こうやってグラスの中でミントとブラウンシュガーをペストルで砕いている作業とかも嫌いじゃなかった。 で、夜の仕事ならでは何か絡んでくるяку́дза(日本のヤクザ)と俺様と氷河が抜けて空中分離した族や、対抗組織のなんやかんやを伸して仕事に励んでいたら、街のキングとか、ギャングの元締め等と好き勝手に呼ばれていた。 そして俺様は健気にも氷河の約束を守る&自分の経営する土地の周りで争い事があればどんな理由であろうと喧嘩両成敗で黙らしてきた。 とにかく、俺様は一人で大人しく、落ち着いてやってきた。 こうやってさっとカクテルを提供して、愛想笑いして、たまに自分の店に顔だして──。 ──出来上がったモヒートのグラスをカウンターに置いて瞬間、女が意味ありげに俺様の指に指を絡ませて来たりしても、微笑してやり過ごすぐらいには大人になった。とか。 んなことを考えていたらダルくなってきたので、適当にキリのいい所で後はサブチーフに店を任して俺様はバーテンの格好のまま店を後にした。 外は夜でも明るく、先程の女の唇みたいにギラギラしてなんだかムカついた。 そして近くのコンビニで缶チューハイを飲み、ぼんやりしていたら久々に『お願い☆喧嘩両成敗』のライングループに依頼があった。 「久々じゃーん。大体元気なヤツは俺様が泣くまでボコったのに。まだ生きのイイのが居たかー。おっけまる。今から行ってみよー。ヤッてみよー」 依頼された場所も近くの公園だし、行って見ると。 驚いた。 そこに久しく会ってない氷河がいた。 髪も黒く、顔を隠すような髪型をして居る上に、 しかもキッチリスーツなんか着てコスプレかと思った。 とりあえず出会い頭の挨拶をかまして──あと、俺様との再開より何やらスマホで誰かに連絡取ろうとしていたので、ジェラシーパンチをスマホにかまして、そのまま俺のスマホでハイヤーを呼んで氷河を拉致った。 そのまま俺様のホテル()に連れ込んで朝まで飲んだ。 そして気がつくと氷河はいなかった。 鏡を見ると代わりに俺の顔にバカと大きく書かれたいた。 なんだかヤリ逃げされた気持ちになった。 だけど。 「やっぱり氷河は、──俺様の側に置いときたい」 と、改めて思ってしまった。
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