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そんな感じで合コンが始まったのだが、俺としてはなんと言うかこう、対面になるとタイマンの喧嘩をおっ始めるような気分になった。
何だか女子たちの妙にギラ付いた視線がそう感じさせたのかもしれないが。
まぁ。
合コンとかではなく普通の食事会と俺は思う事にした。
そして運ばれてきたグラス等を各々手に取って和やかな雰囲気で食事会は始まった。
参加者全員、同じ会社に属する者達と言う事もあり、話題や会話はそれなりに弾み、俺も普段あまり喋ってなかった男の同僚と話すのは楽しいと思った。
そして、その合間合間に妙にプライベートな話が挟まれたりするのが合コン故かと思われた。
そして食事もメインを食べ終わり、明日は休みと言う事もあり酒が良く進んでいるなとか、思っていたら、花村と氷里さんが「席替えタイムです」と、言い始めた。
そして予め決められたかのように俺の左に氷里さんと右にも女子。
前にも女子。
──何か、追い込み漁をされている魚のような気分になった。
そしてつかさずラインの交換が行われ、俺も流されるような形でラインを交換していった。
そして当たり障りのない会話が続いたとき、ちょっとしたグラスの取り違えがあって、俺が誤って日本酒が使われたカクテルを飲んでしまった。
──やば。
少しもたたない内に一気に胃の中のモノがせり上がって、口の中に唾液が充満する不快感が押し寄せた。
俺は場の空気を壊さないように「少し連絡してくる」とスマホを握りしめて、席を立ってガーデンコーナーで酔いを紛らわせていたら氷里さんが俺の後を追ってきたのだった。
「宮下クン、ここにいたんだ。ごめんね。私が注文した日本酒のカクテルと白ワイン間違えて──」
「……いえ、大丈夫ですから。気にせず戻って下さい。もう少ししたら僕も戻りますから」
「これ、お水。さっきお店の人に貰ってきたの。飲んだ方がいいと思うから」
すっと差し出されたグラスに俺は「では、頂きますと」と、頭を下げてそれを一気に飲み干した。
そして水を貰って、一気に水を煽ったら。
一気に意識が混濁した。
混濁する意識の中で──。
「やだ。また日本酒が混じっていたのかなぁ。ふふ。大丈夫、宮下クンは私がちゃーんと、送って行ってあげるから♡」
そんな意味の音が聞こえたが、理解する前にどうしようもない気持ち悪さと、意識が闇に落ちる心地よさが俺の全身を包んだ。
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