どいつもこいつもヤキを入れてやろうか!

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私。 氷里茉里。 ──どんな手を使おうともゲットしてやると決めた女である。 これは最初から仕組まれた合コン(戦い)。 花村君に意気投合するように話しを合わせ、合コンをセッティングしてやった。 「同じ部署の花村君や宮下クンともっと話す必要があるよね」等と言いつつ、花村君にそれとなく宮下クンを誘うように言ってみたりした。 その他の男子も中々良いメンバーだった。 参加する女子も男子の豪華メンバーにソッコー集まった。その中には宮下クン狙いの女子も居たが私がねじ伏せた。 そう。私は急遽集めた女子メンバーに正直に話しをしている。 『私が宮下クンに振られたら、二度と宮下クンに手を出さない。その後は好きにしたらいい』と。 メンバーは『それなら協力する。当たって砕けて来い』と背中を押してくれた。 これは背水の陣。 失敗等許されない。 合コンの最中宮下クンの苦手なお酒を何となーく聞き出して、グラスの取り違いをして──酔い潰してホテルに連れて行って『既成事実』さえ作ってしまえば──とか思っていたら。 宮下クンは日本酒が苦手だと言った。 ──神は私の味方だと思った。 誂えたようにこの店には日本酒を使ったカクテルがあったし、同じグラスの形で白ワインの提供もあるのを確認した。 そして、白ワインが美味しいと宮下クンに酒を進め、私のシナリオ通りに合コンは進んで行って宮下クンまんまと日本酒を口にした。 なのに、顔色一つ変えずに静かに席を立った。 ──そこまで日本酒が効いてない!? 私はつかさず、他の女子達にサインを送り、宮下クンの後を追った。 ついでに宮下クンの飲んだ日本酒のカクテルを水で少し薄めた物を手にしながら宮下クンの後を追った。 「卑怯と犯罪スレスレアウト! とかそんなもの、自分の好きな男を手に入れる為ならなんぼのもんよっ」 城で待ってても王子様なんか来ない。 王子様は自分から迎えに行く根性じゃないとどうする。 女が男を選ぶ。 迎えに行くのが姫でもいいはず。 私は美しく可愛らしい姫で在るように努力してきた。 「それに見合うモノが欲しいのよ」 私の事をウラで承認欲求の塊等と言う奴らの存在も知っている。  しかし承認欲求のどこが悪い。 生まれたからには承認されたくて当たり前じゃないかって私は思う。 ──全ては自分が幸せになりたいため。 その為に私は宮下クンが欲しいのだ。 宮下クンがどう思うかって、話しだけど。 そんなの尽くして、尽くして、尽くしまくる。 可能性がゼロじゃなかったら落とす自信があった。 そう、麗子部長といー感じになる前に宮下クンの心に私が乱入してやればいいのだ。 「うふふふっ! 宮下クン待ってなさいよー!」 私はカツカツとヒールを鳴らして宮下クンの後を追った。 そして、ガーデンコーナーにてぐったりしている宮下クンを発見した。 良く顔を見ると長めの髪と眼鏡の下の瞳は少し赤く充血して潤んでいた。 そして、ネクタイを緩めて少しだけ鎖骨が見えた。 ──エロい。 エロいぞ。宮下。 そんな事をおくびにも出さないで甲斐甲斐しく世話を焼く様に近づき──止めの()を渡した。 宮下クンの喉仏が大きく上下して、次に宮下クンの身体がぐらついた。 「よし、キタコレ!」 そして、私はつかさず横に座り身体を密着させ、落ちそうになるグラスをキャッチして、ぐらつく宮下クンの身体を支えた。 「やだ。また日本酒が混じっていたのかなぁ。ふふ。大丈夫、宮下クンは私がちゃーんと、送って行ってあげるから♡」 私はそっとベンチにグラスを置いて、持って来た自分のスマホに今日の女子メンバーにラインを送る。 『今から宮下クンと抜けます♡』 そして、タクシーを呼ぶ手配もする。 ──何て計画通り! 私はまさに天にも昇る気持ちだった。
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