推しが尊い!

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あれから三日目後。 話を総合的にまとめると。 俺がクドグループのから直接のヘッドハンティングにあったと言う事に落ち着いた。 そこで俺は有愛がクドグループの現社長の子息であった事を知った。 気持ち的にも精神的にも怒涛の三日間だった。 事件があったその日は正直仕事にならなかった。 あの、とんでもない会議室の現場を色々な重役の方たちに見られたが。 有愛は固まる俺達等、意に介さず。 「おっさん達もいるのかよ。んーなら。皆で飯にしよう。で、何か迷惑かけたぽっい? から、真面目にお仕事の話ししよーか☆」 と、いきなり実業家の顔を出してきた。 それで色んな事が有耶無耶になった。 当の有愛は何かスッキリしたのか「オヤジの仕事も悪くねーな」と、笑っていた。 そして、ちゃんと連絡先も交換して、後日飲みの約束もした。 昨日は社長室に呼び出されたり、クドグループの人たちから侘びがあったりと、昼過ぎまで拘束された。 クドグループの人たちは涙目で俺に挨拶しにきていた。 「訴訟だけは勘弁して下さい。そして有愛様と、何卒これからもお付き合いをよろしくお願いします」と、微妙な勘違いをされたりもした。 社長達からは実入りのいい話しが出来たみたいで「今後も我社で頑張ってくれ。期待していると」上機嫌で肩を叩かれたりした。 で。 そして部長とようやくまともに話が出来たのが今日だった。 ここはいつもの資料室だった。 部屋にあったパイプ椅子に座りながら話をしていた。 もちろん二人きりだった。 取り敢えず、俺は現在歩くだけで色んな注目を浴びてしまうので昼休み、部長に色々と相談したいとここで合う約束を取り付けた。 ──こんな誘い方をしたい訳じゃなかったが、この三日間の出来事を包み隠さず話しが出来る人が部長ぐらいしか居なかった。 そして何よりもあの会議室の現場の事を否定して起きたかった。 いや、ラインなどでそれなりに話をしていたが。直接俺は断じてそうじゃないと伝えたかった。 しかし、部長は楽しそうに笑っていた。 「わかってるてば。有愛さんが暴走したのよね? 久々に宮下君と会ってテンション上がったのよね? 会議室で見た光景は死ぬまで忘れられそうにないから安心して諦めて?」 ──後から聞いた話しだが、どうやら部長が重役達の会議室突入を止めていてくれたらしい。 今、突入したらもっと話がややこしくなりそうだとか、言ってくれていたらしい。 そこは素直に感謝しているが、今は不満の声を上げるのを優先した。 「……ミリも安心出来ませんが」 「いやね。有愛さんに捕まった宮下君。私が昔飼っていた猫みたいな驚き方をしていてね」 「猫ですか」 ふふと、笑う部長。 「うん。猫。猫って、凄いびっくりするとその場に固まっちゃうの。それとそっくりで、助けなきゃー!って思ったのと。有愛さんどう見ても日本人じゃない風体だったし、クドグループってロシア系の外資だったから、ひょっとして? みたいな」 噂でクドグループの御曹司はトリッキーって聞いた事があったしね。と、付け加えた。 「ほんと、インパクト大だったなー。それに」 さらに。 部長は瞳を輝かせて。 「にしても有愛さんってば、スッゴイ」 「カッコイイですか?」 ──俺は思わずぶっきらぼうに答えてしまうが、部長はそんな俺の様子に気付かないようで。 少し興奮気味に──。 「それ以上に、シリウスにそっくりじゃなかった!? めっちゃくちゃ似てると思うのだけれどもっ! あぁ。宮下君と有愛さんがルキウス様ととシリウスの衣装着て並んだら絵になるだろうなー。それだけでご飯食べれる……」 ほぅと、若干色っぽいため息を付きつつ、うっとりする部長。 シリウス。 えっーと、確か。 ヴァンパイア戦記のラスボスか。 確かに色素薄い系イケメンのボスで俺様&ワンマンなところは似ているとおもった。 ルキウスとユリウスの村を焼いた張本人で、二人の宿命の敵だった。 いや。それよりも。 中身はともあれ大抵、有愛の容姿で一目惚れする女子が多い中で──。 「……部長がそー言う方面で物事を見る人で良かったです……」 「え? 何か言った?」 「いえ、何も」 「あの、それよりも私も聞きたい事が有るのだけれどいいかな?」 それまでリラックスしていてた様子の部長だったが、少し緊張した面持ちで聞いてきた。 その、様子に俺も少し身構えつつ、頷いた。 そしたら意を決したように。 「その、氷里ちゃんと付き合っているって本当なの?」 ──そうだ。 そんな噂があった──と、思った。
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