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サウナ並みに暑い二階の部屋で座り込んでいると、母がガラ、と引き戸を開けた。「暑いわねぇ」とボヤき、顔をしかめている。
「うん、有ったよ。ついでに懐かしい物まで見つけちゃって」
箱に蓋をして、探し物のCDと共に持ち出すことにした。かつての自室を後にする。
夏休みに出されたゼミのレポートを仕上げるため、実家に置きっぱなしにしていた私物を漁りに帰って来ていた。資料となるCDは見つけたので帰って仕上げるのみだ。
「懐かしい物?」と首を傾げ、母が冷房の効いたリビングで麦茶を入れてくれた。ありがとう、と言ってからグラスに口を付ける。
「そっ。子供の頃に私が仲良くしてた真帆ちゃん。覚えてる? しばらくやり取りしてた手紙とか見てたら懐かしくなっちゃってさぁ」
「ああ、あの子ね。覚えてる覚えてる、あんた毎日のように遊んでたもんねぇ」
テーブルの向かいに座った母とその子の思い出話をしながら、私は箱の中身を吟味した。
手紙とは別に出てきたフェルトのお守りを指でつまんだ。
これも覚えてる。
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