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「王子だよ!隣国の。サンダーバード家の三男だ!それ以上のことは君を避難させてからゆっくりと説明させてほしい。いつ追手がかかるか分からないからね」
思いがけない言葉の連続に、レイラの思考は追い付けず固まった。
王子?隣国の?
追手というのはモートン卿からのだろうか。
一体誰を捕らえるための?
ルイ?
それとも私?
レイラは混乱した。
ひょっとしてルイは会話をすることで、従者が来る時間を稼いでいるのではないだろうか。
もしルイの屋敷の従者に捕まれば拷問にかけられるかもしれない。
レイラは死ぬにしても痛いのは嫌だった。
誰かに痛めつけて殺されるくらいなら今ここで自分の頭を撃ち抜いた方がいい。
何よりもう、レイラは自決する覚悟でここに来たのだ。
そう簡単に自分の決意を翻すわけにはいかない。
ルイの話に耳を傾けていたら、せっかく固めた決意も揺らいでしまいそう。
レイラは銃口を自分の頭に向けた。
慌てたようにルイが叫ぶ。
「待ってレイラ!!」
止めに飛び込もうとするルイを、目をつむって視界から消し、レイラは引き金に手を掛けた。
(さよなら、ミア、お母さん)
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