さよならモルテ

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 思いがけない繋がりに驚きながら、しかしレイラは俯いた。 「……リア様はお優しいですね。ですが私の名前はモルテです。どう言い訳しようと私は罪人。生きている資格などありません」  リアは一瞬閉口したが、またすぐに口を開いた。 「確かにあなたは人を殺めてきたかもしれない。でもそれ以上にあなたは人の命も救ってきたのよ。あなたのお友達だってその一人でしょうし、私にしてもそうよ。あなたがいてくれなかったら息苦しい生活に耐えかねて身を投げていたかもしれないわ。それにレイラちゃんが手に掛けてきた貴族たちは、みな裁かれるべき悪人よ。スペンサー伯爵だって裏切り者だった。彼はモートン卿がグレゴリー卿のもとに忍ばせたスパイで、ありもしない罪をグレゴリー卿に着せようとしていたわ。でも書類を見た痕跡を残してしまったせいでモートン卿に消された。それでなくても彼がこれまでに働いてきた悪事はたくさんあって、特に女性に対する扱いはひどいものだった。だけど彼がいなくなったことで女性たちは解放された。彼女たちを救ったのはあなたなのよ。レイラちゃんが自分を責める気持ちも分かるけど、どうか許してあげて。私はあなたの罪を問わないわ」  説得するようにリアは言った。  しかしそれでも腑に落ちない表情をしていると、レイラのしこりを溶かそうとするように、ルイが声を上げた。
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