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「レイラ」
「やめて、その名前で呼ばないで!」
レイラは反射的に遮った。
「どうして? 君はレイラだ」
「違う、モルテよ!」
涙目で叫べば、ルイは立ち上がってレイラに近寄り、レイラの拳銃を持っていない方の手を両手で包み込んだ。
「レイラ、僕に君を助けさせてくれ。この手がこれ以上したくないことをしなくていいように、僕に守らせてくれないか」
レイラは包まれた手を振りほどこうとしたが、まるで力が入っていない気がして怖かった。
だから言葉で強がるしかなかった。
「どうして? あなたにそんなことする義理はないはずよ」
ルイはレイラを真摯な眼差しで見つめた。
「本当にね、君と出会うまで僕は落ち込んでいたんだ。消えてしまいたいとすら思っていたよ。でも君を見つけて、生きることに意味を見出せた。大嫌いだった貴族という地位も、君を守る矛になるなら捨てたものじゃないと思えたんだ。きっとね、僕は君と出会うためにここへ来たんだよ。信じて。僕は君の敵じゃない。君を守るためならどんなことだってする」
真っすぐ熱のこもった瞳で見つめられ、レイラは息を飲んだ。
こんなふうに見つめられるのは初めてで、どうすればいいのかわからなかった。間近で目が合って居心地が悪いような気がするのに、高鳴る心臓が頬を染め、自分から視線を逸らすことができなかった。
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