殺し屋といつもの夜

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 レイラのいる国から隣国に行くためのルートは二つあり、一つは正門を出て行く正規のルートで、もう一つは橋を渡って遠回りして行くルートだった。後者のルートは一部の人にしか知られていない。  情報屋の報告によると、スペンサー伯爵は深夜二時頃に屋敷を出て辻馬車で隣国に出向くとのことだった。夜に正門は空いていないから、スペンサー伯爵一向は橋を渡る裏ルートを使うはずだ。  レイラはそのルートを使って隣国に行く場合、身を隠すのに最適な場所を知っていた。橋の近くにある林だ。そこなら自分の身を隠して相手の命を狙うことができる。潜伏場所を決めると、レイラはスペンサー伯爵が城を出てから橋を通過するまでにかかる時間を頭の中で逆算し、計画を練った。
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