家庭の香り

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 ……そうして何やかんやあって、その日は散会しました。  智哉には、次は遅れるなよって冗談を挟んで揶揄しましたね。 彼も「次は三十分前に来てやる!」なんて豪語してました。  僕らはただただ楽しかったです。 智哉のおかげで喧嘩とも無縁で、安寧した日々でした。 明日も明後日も智哉との楽しい毎日が続くのだと、信じて疑いませんでした。  たとえ現実が形を変えてしまいそうになっても、必ず前兆があるのだと、あの時はぼんやり思ってましたね。  結局、三宅家はその日を境に消えてしまいましたけど。
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