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「ど…どうしたって……その二人のことを助けたんじゃ?」
俺の返答を聞いた校長は、一瞬天を仰いだかと思いきや、また肩を震わせ笑い始めた。
「ねぇ。私もそうするものだと思っていた。だからあえてこちらからは何もせず、彼の行動を見ていたんだよ。どうするのかなーって。そのまま掴みかかって池に落とすことも容易にできたんだけどね。……でもね、さすが斗真くんだ。彼は逃げようとしたんだよ。友達二人を見捨てて、自分一人だけね」
まるで子供同士の出来事とは思いたくない程に残酷な話だ。
そしてそれを冷静に、狂気的に語る校長にとてつもない嫌悪感を抱く。
今までに見てきた……学校で接したきた校長と、魚男に扮した目の前にいる
校長は、本当に同じ人物なのだろうか。
「許せないよねぇ許せないよねぇ。他の動物だって仲間を助けようとする防御反応を見せるものもいるというのに…。ピラミッドの頂点にいる人間が人間を見捨てようとするだなんて!!」
そう声を荒げると、校長はものすごい速さで俺に迫り再び魚の口元を俺の顔に押し当ててきた。
「うっ……」
「あそこまで非道な奴だとはさすがに思わなかったよ。だから当然、斗真くんのことも池に突き落としてやったんだ。逃げようとしていたところを、ランドセルを思い切り引っ張ってそのまま…ドボンっ!とね」
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