まるで少女漫画のように

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 ホテルには和風庭園があり、丁寧に手入れがされている。私たちはその庭を一緒に歩いた。私は彼の少しうしろを歩きながら、目の前にそびえ立つ背中を眺めた。  はい、うしろ姿もめちゃくちゃカッコイイです。  絵になるう~。 「疲れた?」  と彼が振り向きながら私に言った。 「あ、えっと……いいえ、大丈夫です」 「君は正直だな」 「すみません」  うわあ、ばれちゃってるよ。本当はあれ以上長くあの空間にいたら息が詰まっちゃうと思っていたから。 「謝ることないよ。いきなり知らない男を紹介されて戸惑う気持ちもわかる」 「え……」 「もし気乗りしなければ、断ってもいいよ?」 「そ、そんな……!」  どうしよう。  やっぱり子供っぽいって思われたのかな(実際子供だし)。  ひゅっと冷たい風が頬を撫でた。  6月だというのに今日は気温が低いし、空模様もあやしくなってきたし、それに遥さんからも冷たいオーラが伝わってくる。 「わ、わたし……未熟者ですが、精一杯頑張ります!」  とっさに出てきた言葉は『嫁としてしっかりやります』という決意表明だった。
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