プロポーズの相手

13/18
前へ
/556ページ
次へ
 その日の午後は気分転換に近所を散歩していた。勉強のこともそうだけど、相変わらず遥さんから連絡が来なくてもやもやしていたからだ。  散歩していたらスマホに着信があり、もしかしてと期待してみたら母だったのでガッカリした。 「ママ、どうしたの?」  自分でも素っ気ない言い方になってしまった。  すると向こうからはいつものような陽気な声ではなく、酷く焦ったような様子が伝わってきた。 『いろは、すぐに病院へ行って』 「えっ……どうして?」 『遥くんが倒れて入院したみたいなの』 「ええっ!?」  叫ぶと同時に、うっかりスマホを落としそうになった。 『今から病院の場所を言うから。ママもあとからすぐに駆けつけるからね』  電話を切ったあと、家にも帰らずに、すぐに病院へ向かった。  どうして? なんで?  倒れたなんて、もしかしたらお仕事で無理しすぎたのかもしれない。  それとも、私がワガママで家を出たから?  もし、重い病気だったらどうしよう。  ああ、わたし……もっと、ちゃんと彼と向き合って話をすればよかった。毎回電話で冷たくしたりなんかして……。  本当は、嬉しかったのに!
/556ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5397人が本棚に入れています
本棚に追加