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◇ ◇
横になったまま色んなことを考えていた時。突然コンコンコンと、扉をノックする音が聞こえた。
「キドです。十河さん、まだ起きていますか?」
「はい。起きています」
来訪者がキドだと分かり、ゆっくりと体を起こす。からりと扉が開き、キドが姿を現した。
「お疲れのところ、遅くにすみません」
「いえいえ。色々あって眠れそうにもなかったので」
あははと苦笑いを浮かべる。
「体調の方はどうですか? 無理せず横になったままで大丈夫ですよ」
その言葉に甘え、横にならせてもらう。キドは近くまでやって来て、ここに来た理由を話し始めた。
「イオジャク局長と話をして来ました」
それを聞いてドキッとする。
「あなたがここにいるのは本意ではないこと。ひとまず今夜はここで過ごして下さいと仰ってました」
「私は明日、帰れますか?」
「はい。そのように仰ってました。それと起きているようなら、少しだけ伺いたいとも」
「イオジャクさんがですか?」
「はい。もちろん体調が悪いようなら、朝に出直すと」
何だろう? と思う。少しだけではあるが、さっき話をしたばかりだったから。
「今で大丈夫ですよ」
「分かりました。では局長にそのように伝えさせて頂きます。私はこれで失礼しますが、何かありましたらナースコールを鳴らして下さい。私もユキモリも待機しておりますので」
「ありがとうございます」
キドは持って来ていた水のペットボトルを置いて、失礼しますと言った出て行った。
ひとりになってどうしたんだろう? と考える。
イオジャクさんの話って何だろう?
引き渡しの話かな?
きっと急ぎの用なんだろうと思っていると、しばらくしてまたノックの音が鳴る。
「はい」
「イオジャクです」
「どうぞ。大丈夫ですよ」
その言葉が許可となり、イオジャクが扉を開けて中に入って来た。
「体調の方はどうかな? 夜間の来訪申し訳ない」
「いえ。すぐに寝れると言った感じではなかったので。体調は変わらずですが、今は落ち着いています」
ありがとうございますとお礼を言う。それならよかったとイオジャクは微笑み、近くまでやって来た。
「明日の引き渡しの件なんだが、早急な決断が必要になってね。無礼は承知で伺いに来たんだ」
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