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「どうして欲しい? 俺には勝手がわからないから、お前が望むように抱いてやるよ」
「好きなように動いて欲しい……。あんたのやり方を、俺の体に教えて」
切れ切れに告げると、嚙みつくようにして口づけられた。同時に逞しい雄竿がぬくりと後蕾に挿し入れられる。
「んんっ! ふ、ああっ……!」
唇が外れ、愉悦の声が漏れた。隘路が男の形に広がる光景が思い浮かび、じわっと下腹が熱くなる。体をよじって悶えたら、中の雄がいっそう嵩を増した。
「あっ……?」
「動くぞ。痛かったら言えよ?」
芦屋の腿を抱え直し、本庄が腰を使い出す。中を突かれる度、体のそこかしこにビリッと電気が走った。同時に男を食いしめてしまい、本庄が「うっ」と色っぽく呻く。
「そんなにきゅうきゅう締めるなよ。もたないだろうが……!」
「そんなの知らな……っ、んっ、ああっ!」
涙声で訴えたら、脚を深く折り曲げられた。長大な雄が奥まで届き、肌がぶわりと粟立つ。
「は、あっ、ああっ……!」
「秀――」
甘い飴でも転がすように愛おしげに名前を呼び、慰撫するみたいに額に口づけてくる。
本庄が優しい。本当に紳士みたいだ。だけど男が優しかったのはそこまでだった。
本庄が前髪を乱暴に掻き上げ、芦屋の顔の横に手をついて屹立を深い場所まで埋めた。思わずのけ反った芦屋の喉に食らいつき、肌がぶつかる音がするほど、きつく中を穿つ。
「うあっ! ひっ……、ああっ!!」
体を激しく揺さぶられ、芦屋は男の汗ばんだ体にしがみついた。首筋に顔を埋めると、汗と煙草の匂いがした。本庄の匂いだと思った瞬間、言い知れない焦燥が胸の奥にじわりと広がる。いつの間にか理想とはかけ離れたこの男の事を、こんなにも好きになっている。それが急に恐ろしくなった。
「本庄さん……、本庄さん……っ」
縋るように何度も名前を呼ぶ。すると本庄がぎゅっと体を抱き返してくれた。同時に一際強く奥を突かれ、視界が白く弾けた。肌が波打ち、腰から下がフッと軽くなる。
「ふ……、ああっ……!!」
「くっ……!」
吐精に引きずられて中が蠕動し、本庄が感極まった声を上げた。だがそのまま中で果てる事はせず、慌てて雄を引き抜き、芦屋の腹に白濁を散らした。はあはあと息を乱し、体が濡れるのもかまわずに覆いかぶさってくる。
「中でイってもよかったのに……」
「バカ言え。初回から中出しなんてマナーに反するだろうが。……まあ、ちょっとヤバかったけどな」
(セックスの時は紳士って、そういう事?)
そう思ったら、初めて体を繋げたばかりだというのに、無性に笑えてきた。くつくつ笑っていると、忍び笑いは本庄にも伝染する。
「やっぱり本庄さんはエロ紳士だね」
「うるせえぞ。人を煽るだけ煽りやがって。このエロリーマンが」
忌々しげに舌打ちをしながら、本庄が容赦ない力で鼻先を摘まんでくる。
存分に愛し合った後は、広いベッドで朝まで甘やかされたい。そんな風に思っていたのに、実際は狭いソファーで身を寄せ合い、鼻を摘ままれてフガフガ言っている。どれだけ夢見ても、現実なんてきっとこんなものだ。
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