1 猫を飼っている地味子は、したたかでズル可愛い女に敗北する

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 私には社会人開始と同時に奨学金返済という借金があり、毎月のお給料は生活費と奨学金返済でほとんど残らない…。  今日のデートのために、手持ちの服から一所懸命に選んだライトブルーのブラウスにひざ下のボックススカートだが、二人並ぶと私の格好は一層地味に見えた。 「柚子の友達…?」 「はい、美優っていいます。柚子ちゃんとは同郷で幼馴染なんです」  美優は私がまだ何も言っていないのに勝手に席に座ってしまった。しかもなぜか忍君の隣に。穏やかな性格の忍君は、いきなり乱入してきた美優に嫌な顔もせず接してくれている。  確かに美優は同郷の幼馴染だ。家が近所で学校は同じだが、でもたいして仲良くはなかった。だけど東京に上京してからは、なぜか時々私の前に偶然(・・)現れるようになったのだ…。    そして、もう一つの事の起こりは今日。  不運は会社の就業ぎりぎりの時間に起こった。突然、上司が従業員に大切な話があると切り出し始めたのだ。 「すみません…うちの会社倒産しました! えー詳しいことは俺も知らないので追って連絡します」  申し訳なさそうな雰囲気は皆無で、テヘペロ顔で話す上司に従業員一同は唖然とした。上司のテヘペロ顔をぶっ飛ばしたい!と思ったのは、きっと私だけではないはず…。  サービス残業当たり前、糞ブラックな会社だけど潰れて欲しいとも辞めたいとも思っていない。まだここでやりたい仕事があった…こんなふうに一方的に終わりになるのはやるせなかった…。  失意でフラフラと帰宅した私は、今にも倒壊しそうなオンボロアパートの扉を勢いよく開け、涙目で愛猫の花子を抱きしめる。 「どうしよう花子!…会社が倒産しちゃったよ!? そうだ家賃! 倒産の場合って今月の給料はどうなるの!?」   金の瞳に茶トラの長毛種、この美しい猫は私の飼い猫だ。猫の花子はニャーと一鳴きすると、心配そうに私の手をペロペロと舐める。専門学校に行き就活してやっと入社できた念願の会社が倒産…、私はこれからの生活の不安を想像して青ざめた。 「働いていても大変なのに、明日から無職…。ダメだ…ショックすぎて頭が働かない…少し眠ってから考えよう…」    ベットに横になると、私の腕に猫の花子がちょこんと頭をのせて丸くなった。その愛らしい姿を見て思わず私の口元が緩む。 「はぁ~可愛いな花子~!」  私はふもふのお腹に顔を埋め猫吸いし、猫の花子をモフりながら泣きながら眠りについた。だが、早々に地震の揺れで目を覚ますことに!?。
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