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今、俺たち二人は職員室で正座をさせられている。
「お前、なんであそこで大きな音を出しちまうんだよ」
ツレが小声で声をかけてきた。
「仕方ないだろ、隠れてたロッカーが急に熱くなってきたんだから。息くらい荒くなるだろ」
おそらく雨が止んで、窓から日差しがもろに当たったんだろう。
小声で話をする俺らの正面で、女子陸上部の顧問が長々と説教をしている。
その脇で我らがカメラ部の顧問が何度も額の汗をハンカチで拭いていた。
さすがに、部活中の誰もいない女子更衣室で「突撃! 秘密の花園の実態に迫る!」なんて動画企画を遂行しようとしていたとは口が裂けても言えない。
しかし、陸上部顧問よ、話が長いぞ。
ツレも俺の横でうんざりした顔をしている。
俺らの今後についての心配をしたかと思えば、コイツの今後の職位の話になったり、随分とっ散らかっている。
俺はハッとした。
「なあ、話が終わりそうで終わらないの、表現するとしたら?」
ツレは少し考えているようだ。
「……五月雨式?」
そう言ってすぐに、ツレもハッとした。
「止まない雨はねえよな」
「くそ! とられた!」
ますますヒートアップした熱血教師の説教は、陽が沈むまで行われた。
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