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――「なんかお腹空いた」 駿は、町田の腕の中でポツリと言った。 「そう言うだろうと思って、さっき買い物して来たよ。ラーメン食うか?」 「うん、食う」 町田は、ゴソゴソと下着だけを履くとベッドから抜け出して、キッチンに向かう。 冷蔵庫から、チャーシューやら煮卵なんかを取り出し、鍋に水を入れて沸かし始めた。 「醤油と味噌、どっちがいい?」 ネギを切りながら、引き締まった背中がちょっと振り返る。 駿はタオルケットから顔だけを出して「しょーゆ」と告げた。 「了解。ちょっと待ってな」 町田は、ニコリと白い歯を見せて笑うと、インスタントでない生麺のラーメンを手早く作ってくれた。 「出来たぞ」 「ん」 駿はベッド脇に落ちている下着を拾って履いた。 町田といる時は、ほとんど下着だけで過ごすことが多い。 冬でさえ、町田は、駿にあまり服を着させてくれない。 寒いと言うと、抱きしめられてセックスさせられる。 そういう時間が、二人の当たり前になっていた。 ズルズルとラーメンを二人で啜った。 「んまい」 「だろ?やっぱりインスタントとは、違うんだよ」 少し自慢気に言う町田が可愛いと駿は思う。 いつも駿の気持ちを先回りして予測してくれる。 今日も、童話の出来に少し自信のない部分があって「どうしようか」と相談したら、的確な答えが返ってきて、すっかり気持ちが落ち着いた。 「ご馳走さま」 ちゃっと箸を置いて、麦茶を飲む。 「おそまつさんでした」 「え?なにそれ?アニメ?」 同じ名前のアニメなら聞いたことがある。 「ばか、お粗末な食事でごめんねって言う意味だよ」 町田は、面白そうに笑うとその場で駿を押し倒す。 「あ、やだ!食べたばっかりなのに」 「可愛いこと言うこの口が悪い」 無理やり口付けられた町田の口から味噌ラーメンの香りがした。
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