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「ううん……ふっ、笑わずに聞いてくれてありがとう」
そんな彼の肩を少し押して顔を上げさせ、お礼を言った。
「笑うかよ! そんな大事な事……笑えるか…」
真剣な目でそう言って、私の気持ちを受け止めてくれた。
「ありがとう、緒原。やっぱり、カッコいいね」
微笑んだ目から涙が溢れて頬を伝い、ポタポタと落ちる。
助手席のシートにもたれてしばらく泣いた後、彼に車を出してもらい家まで送ってもらった。
車を降りて見送り部屋に帰ると、玄関で泣いていた。
だけど後悔はしていなかった。
笑わずに聞いて受け止めてくれた事が嬉しくて、そんな彼がやっぱり好きでどうしようもなくて、ただただ涙が止まらなかった。
散々泣いたあと、シャワーを浴びて寝る前に目を冷やす。
(明日はいつも通りの顔で行かないと…)
泣き腫らした目では仕事に行けない。
じっくり目を冷やしてから眠った。
翌朝、洗面台に行き顔を見ると瞼は腫れておらず、いつも通りだ。
「よかった……」
今日からまた、今まで通り友人として付き合っていこう。
昨日彼も言ってくれた。
「友人として今までと変わらない…」
そう言ってくれただけでも、私は救われた。
友人としてなら彼のそばにいられる。
また辛い想いをするかも知れない。
でも、それでも今は彼のそばにいたい。
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