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「あ、コンビニ寄っていい?喉乾いた。あと本も買いたい」
今日は陽太の買ってる雑誌の発売日なのを思い出した。
「いいよ。俺も飲み物買う」
二人でコンビニに立ち寄る。
目的の物は決まってるのに、何となく立ち読みをし、買わないのにお菓子売り場を見て、懐かしのシール付き駄菓子チョコを見て思い出語りをし、無駄に時間を費やした。
真っ直ぐ帰れば20分の距離。
コンビニを出ると、あと5分の距離。
「公園で飲んで行かない?」
「いいよ!その漫画ちょっと読ませてよ」
「あれ?漫画読む様になったん?」
「いや、最近アニメの方見たら原作気になって……」
「なるほど!オッケー、オッケー!そういう事は早く言いなさい!これからは貸してあげるから」
「マジで?!ありがとう!心の友よ!」
変なテンションで語り合う。
なんだろな〜、この感じ。共通点無いと思ったら話せばドンドン出てくるし、楽しい!
これだから気持ちを持て余してしまうんだ。
友達と何が違うんだろう……。友達ならこの関係が無くなるとは思わないだろうし、無くなることをこんなに怖がらないだろう……そう考える様になり、俺は陽太に友達以上の感情があるのではと思うようになっていた。
でもそうだとして報われない。
女の子みたいに恋に恋してるだけなんじゃないか?
陽太の事を見過ぎなんだよ。そう自分に言い聞かせる。
近くの公園に行き、木陰のベンチに並んで座ると袋から雑誌を出して渡してくれる。
「ありがとう」
受け取って目的の漫画をパラパラ捲る。
セミが暑苦しく鳴いているが、無言の気まずさを消してくれてありがたい。
隣で「パキッ!」と音がする。
横目で盗み見ると買ったスポーツドリンクを開けてゴクゴク飲んでいた。
上げた顎のラインとそこを伝う汗を目で追ってしまう。
「飲む?」
盗み見のつもりが、顔を上げて見ていた様だ。
慌てて首を振る。
「自分のあるから!」
読みたい漫画を読み終わり、ありがとうと返して自分の飲み物を手にする。
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