もっと、ずっと…

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「相変わらず炭酸と甘い物好きなんだ」 俺の手にしたカルピスソーダを見て冷やかす様に陽太が言う。 「良いだろ。美味いんだから」 俺の選ぶ飲み物は陽太に限らず見る人が同じ様な反応をする。 唇を尖らせて開き直る。 「ハハッ!怒るなよ!陵の好みは分かってるからさ」 陽太の笑顔が眩しくて誤魔化すようにカルピスソーダを一気に飲むと、開けたばかりの炭酸の刺激に喉をやられ咳き込んだ。 「何やってんだよ!大丈夫か?!」 驚いて背中を擦ってくれるが、やがて俺の咳き込んで苦しむ顔を見て更に眩しく笑う。 咳き込んで苦しいのと、その笑顔に当てられ熱が集中したのとで、顔が真っ赤なのを自覚する。 「陵の顔すげぇ真っ赤!完熟トマトみたい!美味そう!」 「やめろ!見るな!」 「ほっぺた熱っ!ってか、何これ、プルプル!やわらかっ!!」 「だから!やめろって!!」 恥ずかしくて見られたくないのと陽太の大きな掌の感触、笑顔、もう全てが俺の思考を停止させ、体温を上昇させた。 やっとの思いで陽太の手から逃れ、残りのカルピスソーダを飲み干し一息つく。 ……心臓に悪い。死ぬかと思った……。 「ごめん、ごめん!悪かったって」 全く悪びれることなく謝る陽太に肩の力が抜ける。 何が原因かって、むせた俺だからな……。 「そろそろ帰ろうか、雑誌読ませてくれてありがとな!やっぱ原作の絵も良いな」 まだ一緒に居たいけど、一緒に帰れる日はまだもう少し続くし、陽太も帰ってゆっくり本を読みたいだろう。 これ以上遅くなると部活なしの意味がなくなってしまう。 俺はそう言ってカバンを手に持つ。 陽太は俺の空になったペットボトルを手に取ると視線を止めていた。 「陵、これちゃんと見た?」 「? 何? あ、俺の家のが近いから陽太のペットボトルも捨てとくよ」 この公園は小さく管理があまり出来ない様でいつも溢れていたゴミ箱がいつの間にか撤去されていた。 「んじゃ、お願いしようかな。陵の飲んだやつ、俺の事かと思った」 「???」 陽太の言ってる意味が分からないまま、本を陽太のカバンに入れてもらい、空いた袋にゴミと化したペットボトルを入れて受け取った。 公園を出てからはもう目の前が俺の家だ。
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