もっと、ずっと…

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もっと、ずっと…

「テスト発表見とけよー!今日から一週間、部活無しだから大人しく家に帰れよー」 本日最後の授業が終わり、数学の教師より一言告げられた。 教室内が一斉に賑やかになる。 「帰りにゲーセン行こうぜ!」 「カラオケどうよ?」 あちこちから先生の話聞いてた?と言う会話が聞こえてくる。 誰からも声が掛からない中、俺は黙々とカバンに荷物を詰める。 ……今回はどうかな。 ……そろそろ誰かと遊んで帰ったり……。 このテスト前からテスト期間まで限定で唯一俺に声を掛けて来るヤツが居る。 「(りょう)、帰るなら一緒に帰ろうぜ」 き、来たーーーーー!!!! 思わずカバンを握りしめる。 「陽太(ヨウタ)は、遊んで帰らないの?」 「折角早く帰れるのに遊ばないよ」 「ふぅん。じゃあ、一緒に帰ろう!」 陽太はサッカー部に所属している為、この部活無しの期間のみ帰宅部の俺と一緒に帰る期間になっている。 小学校から同じで、いわゆる幼馴染だ。 だけど、スポーツ出来ない俺と違って、陽太はスポーツ少年の為、学校以外は遊びも違うし、なかなか接点が無い。 いつも人の中心に居る陽太は俺の憧れだ。 学校が一緒ってだけで、地区も違うし、こうして毎日ではないけど、一緒に帰る期間があるのが不思議な位だ。 上履きを外履きに変え、並んで校門を出る。 ……あ、陽太、背が伸びてる。 並んでいた肩が少し高い位置にあった。 ……日焼けしたなぁ。 半袖シャツから伸びた筋肉質な腕と、襟元から覗く肌が褐色で、自分の肌色と比べてしまう。 「何?」 目線に気付かれ、問われてしまう。 「日焼けしてるなぁと思って……」 「陵はまだ白いな〜!夏休み海行こうぜ!」 言いながら比べる様に陽太が自分の腕をくっつけてくる。 肌色だけじゃなく、腕の太さも違っていた。 ひぇぇっ!陽太の体温が……!手汗じゃなく、全身から汗が出る!心臓ヤバイ!! いかん、いかん!平常心!!といい聞かせながら、さり気なく腕を解き 「海か〜、俺、泳げないんだよね」 「もう高校はプール無いもんな。中学で頑張るべきだったな!浮き輪持って行こうぜ!」 サラリと慰め、誘いはそのままの陽太に苦笑する。
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