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プロローグ
へネディ村では、ラタという農民が今日も口角を上げ、せっせと土を耕していた。
畑の端には、ほうれん草や大根の苗が置いてあり、どれも青々と輝いている。
ラタは半年ほど前は国でも上位の貴族の身であった。
ラタは侯爵令嬢のラナ・イエディーだった。
ラナ・フェミールは国で王家に次ぐ権力の持ち主である侯爵家、フェミール家の一人娘で、母親似の絹のような肌と銀色の真っ直ぐな髪に、父親似のアメシスト色の透き通る切れ長の目を持っていて、全てに置いて完璧で、文武両道や才色兼備と謳われていた。
おまけに性格もとても良く、誰もが憧れ、愛される淑女の姿だったとほとんどの人が言う。
そう、ほとんどの人が、だ。
その中に含まれないのが、彼女の婚約者の王太子殿下と彼女の従兄弟である。
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