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「自主練時間は17時20分まで。半から合わせるからそれまでには戻ってきてね。特に世良!」
「……なんでわたしだけ名出しするんですか」
「あんたがサボり常習犯だから以外の理由なんてないわ」
「はあい」
「いい?あんたこれ以上サボったら夏のコンクール出れなくなるからね!?」
「はあい」
「返事がぬるい!」
「夏だからです!」
「…もういいわ、解散」
自主練なんか意味がなかった。
合奏なんて、楽しいと思えなかった。
思えなくなってしまったのはきっと、
夏がそこまでやってきているせいだ。
「せらサン?どこ行くのかな?」
「……自主練?」
「絶対帰ってくるつもりないでしょう。外で練習でもするつもり?」
首にかけたタオル、ポケットからはみ出ている小型扇風機。
譜面が入っているファイルと楽器ケースを抱えて、人目を避けて逃げようとしていたらしっかりと顧問の先生に目撃されてしまった。
「外には気分転換で行きます、練習は中でします」
「そりゃあ、あなたの楽器で外練はできません」
「そんなの百も承知ですとも」
「まあ自主練時間は何したっていいけどね」
「そうですよね」
「あんたが伸び悩んでることもわかってるけど」
「、」
「世良はいっつも、逃げてばっかりね」
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