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校舎の中で一番高い場所にいる、
誰にも見られない気づかれない場所に一人でいる。
誰の目も気にしなくていい、なにも気にしなくていい空間はここにしかなかった。
独りになりたいワガママは、いつまでも通用するわけじゃないということもわかっていた。
生ぬるい地面に背中を預けた。
相変わらず、汗が滲んで気分は最悪だ。
サイアクのまま、嫌な最低ラインまで自分が落っこちてしまえばいいのに。
もうこれ以上、伸びない。
わたしの実力はたいていここまでなんだ、ここ数か月で痛いほどわかった。
ずっと伸びしろを探して生きていたのに、初めて絶望を知った。
プロになりたいわけでもなくて、誰かに負けたくないわけでもない。
だれかに私のポジションを奪われたとしても、きっとそれほど悔しくないんだろうなということも何となく気づいていた。
何にもなかった。
良くも悪くも平凡な毎日の中で、何も変わらない日常の中で、少しでも成長していると感じることができたたった一つさえもう変わらなくなってしまった。
持って生まれた才能なんてどこにもなかったんだ。
ワガママで迷惑もかけてそれでも逃げてばっかりの私は、もうどこにも逃げることができないし、何もできないのだ。
「♫―――」
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