リンの嫁入り

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「あぁ、楽しい!」 とハナが言う。 「ずっとこんな時間が続いてほしいわ」 とユキが言うと、リンは起き上がり湖に自分の顔を映して言った。 「あのね……、私、夏が終わったら結婚するの」 ハナとユキは 「えっ?」 と驚いた。 リンが振り向くと、優しく暖かい風に花が舞った。それに包まれるリンは笑っていたが、どこか儚げで切なかった。 「お、おめでとう!」 「うん、おめでとう!ごめん、びっくりしちゃって間が空いちゃった」 2匹はリンの手をとって祝福した。 「ありがとう」 リンは微笑んだ。 「それで?相手はどんな(かた)なの?」 と、ハナが目をキラキラさせて言った。 「(みっ)つ山を超えた先の森に住んでいるの。とても優しいのよ」 と、リンが頬を染めて話した。 「(みっ)つ先の山かぁ。遠いところだね……」 とユキが静かに言った。 さらさらさらと風が草花を揺らす音だけが響きわたる。
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