19人が本棚に入れています
本棚に追加
「覚えてる?」
沈黙の中、リンが2匹に問いかけた。
「ん?」
ハナとユキは首を傾げた。
「昔、夏に森のみんなとここで遊んでいたら、夕立が来たじゃない?雷も鳴って雨も酷くて。慌てて森の中に入ったけれど、すぐに止んで。みんなはそのまま帰っちゃったけれど、私とハナとユキでここに戻ってきたら……」
「大きな虹が出ていたんだよね!」
と、ユキが続けて言った。
「覚えてる覚えてる!その虹が湖に映って虹のトンネルになっていたの!」
と、ハナも懐かしそうに話す。
「また、あんな虹が見てみたいな」
「そうだね」
と3匹は少し霞みがかった青い空を見上げた。
月日が経つのはあっという間で、夏も半ば。リンがお嫁に行くことは森のみんなに知らされていた。
「リンがこの森を離れてしまうのが寂しい……」
ユキが俯いて言った。
「そうね。私も寂しい。けれど、リンの門出の日よ。笑って楽しく送ってあげよう!」
森に住む、鳶や梟、熊、狸、鹿、そして蝶々にトンボ、鳥も動物も虫たちもみんなでリンを祝う準備が始まった。
最初のコメントを投稿しよう!