リンの嫁入り

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「覚えてる?」 沈黙の中、リンが2匹に問いかけた。 「ん?」 ハナとユキは首を傾げた。 「昔、夏に森のみんなとここで遊んでいたら、夕立が来たじゃない?雷も鳴って雨も酷くて。慌てて森の中に入ったけれど、すぐに止んで。みんなはそのまま帰っちゃったけれど、私とハナとユキでここに戻ってきたら……」 「大きな虹が出ていたんだよね!」 と、ユキが続けて言った。 「覚えてる覚えてる!その虹が湖に映って虹のトンネルになっていたの!」 と、ハナも懐かしそうに話す。 「また、あんな虹が見てみたいな」 「そうだね」 と3匹は少し霞みがかった青い空を見上げた。 月日が経つのはあっという間で、夏も半ば。リンがお嫁に行くことは森のみんなに知らされていた。 「リンがこの森を離れてしまうのが寂しい……」 ユキが俯いて言った。 「そうね。私も寂しい。けれど、リンの門出の日よ。笑って楽しく送ってあげよう!」 森に住む、(とんび)(ふくろう)、熊、狸、鹿、そして蝶々にトンボ、鳥も動物も虫たちもみんなでリンを祝う準備が始まった。
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