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今日はいつものように3匹で遊んでいた。すると木の上から鳶のおじさんの声がした。
「おぉい、ハナ、リン、ユキ。もうすぐ夕立が来るぞ。雷に気をつけろよ」
「夕立だって!もしかしたらまた虹が見れるかも!」
3匹は草原に向かって走り出した。岩を登り、木々の間を駆けていると雷と共に雨が降り出した。木の葉を伝って雨が落ちてくる。小川を飛び越え見えてきたのは森の出口。
草原は白い靄に包まれていた。
3匹は雨が止むのを待っていたが、曇の切れ間からはオレンジ色の光がさし、空は夕焼けに染っていた。
「虹、出なかったね」
ユキが言うと、リンは湖に向かって走り出した。
「リン!」
ハナがリンを追いかける。
「待って!私も行く!」
とユキが続く。
3匹が駆けると草花についた雨の雫が宙へ舞う。夕日に輝く綺麗で幻想的な雨の雫だが、リンの後ろを走るハナにはそれがとても切なく思えた。
湖に着くとリンは顔を水の中に入れた。
「リン!」
と、ハナとユキが声をかけるとリンは顔を上げ、キラキラと潤った目で言った。
「私、ハナとユキが大好き!ずっと忘れない。いつかまた一緒に虹を見ようね!」
帰り道、先にリンとわかれハナとユキは暗くなった森の中を歩いていた。
「リン、泣いてたのかな?」
と、ユキが言う。
「……。」
ハナは何も応えなかったが、しばらくして
「そうだ、うん、そうしよう!」
何かを思いついたかのように、ユキを見た。
「?」
ユキが首を傾げている。
「私たちからリンへの祝福だよ!」
ハナが明るく笑って言った。
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