29人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
「偶然会ったんだけど、デート中って気づかなくて、私声かけちゃって…」
なんだこの状況。
でも、デートに見えたことにちょっと反応して嬉しくなってしまう。
「まったくめぐはとゃんと回り見て」イケメンくんはそう言いながら、私たちに『すいません』とあやまってくる。
「せんせ、すいませんでした。ごゆっくり」
イケメンくんはそう言いながらちょっとだけニヤッと笑った気がした。
「行くよめぐ」
そう言われて菊池さんもペコッと頭を下げた。
「めぐそれも持つよ」
「ありがとう、フート君」
二人は完全にいちゃつきながら、私たちに背中を向けて遠ざかって行った。
「賑やかな人たちだね」
彼がぽそっと言った。
見上げると、そこにはまだ、なんとも言えない表情を見せる彼が、二人の背中を追っていた。
でもすぐに、いつもの柔らかい笑顔でわたしをみて、
「僕たちも行こうか?」と言ってきた。
まだもう少し時間は、かかりそうだけど、彼を待ってみようかな。
そう思えた瞬間だった。
最初のコメントを投稿しよう!