どこ行ってたの?

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どこ行ってたの?

配送の途中にコンビニによってコーヒーを買う。 道の向こうのドラックストアから、出てきた二人組にふと目が留まる。 あれ?めぐ? いてもおかしくないけど、一緒にいるの…男だよな? 誰? たまたま会ったって感じじゃないし、よく見てたらなんか親し気だ。 聞きに行けばいい、俺彼氏なんだし。『何してんの?』って聞けばいい。 それにしてもずいぶんと若そうだ。 そのまま二人は歩いて行ってしまう。 ただ、それを目で追ってるだけの俺。 情けないけど、めぐの口からききたくないこと聞いたり、修羅場になるのが怖い。ちょーチキンな俺。 へこんだままその日の仕事を終える。 今日はめぐんち行くのやめようかな? そう思ってたら 帰りに寄った自販機で創にあってしまう 「ふーと君?」 「あ 創」そう言えばこの辺の塾だって言ってたなぁ。 「仕事終わり?お疲れ様」 なんて優しい子なんだ。 「創も塾終わり?」 「うん そう。今、母さん待ち」 「めぐまだ迎えに来ないの?」 「うん ねーちゃん拾ってからこっち来るって」 「俺が乗せてこうか?」 「え?いいの?でも疲れてるっしょ?」 ほんとめぐそっくりで、遠慮しいだなぁ。 「大丈夫だよ。今めぐに連絡しとくから」 めぐに電話すると愛奈が出た。なんだかほっとする。多分運転中だから、代わりに愛奈が出たんだろうけど、めぐと話す勇気はなかった。 創を乗せて帰ることを愛奈に伝言する。 何となく、めぐんちに行く理由ができたことにうれしくも、複雑な気持ちになる。めぐと顔を合わせるとなるとドキドキする。 「お帰りぃ、楓人君ありがとね」 いつもと変わらないめぐ。昼間は俺の見間違いだったかな?とさえ思えてくる。 子どもたちは夕飯を済ませてそれぞれの部屋へ行ってしまう。 めぐと二人きりになって、沈黙に耐えられなくて、話しかける。 「あのさ めぐ」 俺にビールを手渡して、自分のお茶を入れてダイニングに座っためぐに、 勇気を出して聞いてみる。 「今日さ 何してた? 」 なんて遠回しな聞き方なんだろ。自分にがっかりする。 「今日?」 「うん 仕事だった?」めぐは在宅の仕事をしているから、 仕事してたって言われたら、完全にアウトだ、と思う。 「今日は買い物行ってたよ。どうして?」 「へぇ」 誰と?聞きたいのに、すぐに聞けない。怖い。  
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