どこ行ってたの?

3/3

29人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
バカか。めぐはどれほど俺がめぐを好きか知らないから、そんなふうに言ってくるんだろう。 俺の『愛』なめんな! でも、なんか悔しい。 ショックじゃないといっても強がりに聞こえるだろうか? そんな感情を隠すために、俺は話題を戻す。 「で? なんでめぐがとデートしてるの?」 「ヤダぁ、こんなおばさんとデートなんて言われたら、彼がかわいそうだよ」 なんか急にほんとにふつーにおばさんの話し方になる。おかしくて笑いそうになる。 「たまたまね。化粧品屋さんの前でうろうろしてる彼を見かけてね。声かけたら、可南子ちゃんの誕生日プレゼント探してるっていうから…。」 あぁ、そういえばもうすぐ可南子の誕生日だな。パートさんが、話していた。 「彼が見たてのちょっと年齢的に上の人の化粧品ばっかだったから、すぐ近くにあった雑貨屋さんを教えてあげたの。で、一人じゃ入りずらいっていうから 一緒に行ってあげたんだよ。」 なんだかほっとしすぎて、おかしい。 これって、しんじていいんだよな?とか勘ぐってしまう。 「もしかして、やきもち焼いてくれたり?」 そういわれて,ドキッとするけど平静を装って、 「いや、通りすがりにちらっと見ただけだから、めぐだったかどうかんなかったから聞いただけ。まさか若い男と買い物してたとはねぇ。」と少し冷たくいいって、めぐから視線を逸らす。 思惑通りめぐは慌てる。 「あ、えっと、ちょっと買い物しただけだよ?怒ってる?きらいにならない?」それを横目で見て満足する。俺をからかおうなんて万年早い。 俺の隣に座りなおして、じっと俺を見つめるめぐをチラ見しながら、 もっと好きになれ、って呪文のように唱える自分にちょっと笑ってしまう。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加