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バカか。めぐはどれほど俺がめぐを好きか知らないから、そんなふうに言ってくるんだろう。
俺の『愛』なめんな!
でも、なんか悔しい。
ショックじゃないといっても強がりに聞こえるだろうか?
そんな感情を隠すために、俺は話題を戻す。
「で? なんでめぐが可南子の彼氏とデートしてるの?」
「ヤダぁ、こんなおばさんとデートなんて言われたら、彼がかわいそうだよ」
なんか急にほんとにふつーにおばさんの話し方になる。おかしくて笑いそうになる。
「たまたまね。化粧品屋さんの前でうろうろしてる彼を見かけてね。声かけたら、可南子ちゃんの誕生日プレゼント探してるっていうから…。」
あぁ、そういえばもうすぐ可南子の誕生日だな。パートさんが、話していた。
「彼が見たてのちょっと年齢的に上の人の化粧品ばっかだったから、すぐ近くにあった雑貨屋さんを教えてあげたの。で、一人じゃ入りずらいっていうから 一緒に行ってあげたんだよ。」
なんだかほっとしすぎて、おかしい。
これって、しんじていいんだよな?とか勘ぐってしまう。
「もしかして、やきもち焼いてくれたり?」
そういわれて,ドキッとするけど平静を装って、
「いや、通りすがりにちらっと見ただけだから、めぐだったかどうかんなかったから聞いただけ。まさか若い男と買い物してたとはねぇ。」と少し冷たくいいって、めぐから視線を逸らす。
思惑通りめぐは慌てる。
「あ、えっと、ちょっと買い物しただけだよ?怒ってる?きらいにならない?」それを横目で見て満足する。俺をからかおうなんて万年早い。
俺の隣に座りなおして、じっと俺を見つめるめぐをチラ見しながら、
もっと好きになれ、って呪文のように唱える自分にちょっと笑ってしまう。
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