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1度やってみたかった
「ケーキ食べたい」
「この前ドーナッツ食べたじゃん」
わかってる。『ドーナツ』と『ケーキ』は別っていうんでしょ?
「冷蔵庫に生クリーム残ってた。」
あれ?言わない。
もはや俺に突っ込むのも面倒なほど、ケーキ食べたい?
ケーキ>俺に何となくへこむ。
仕方なく俺もめぐの後を追いかけてキッチンを覗く。
「あ ホットケーキもある」
冷凍庫ものぞいて、嬉しそうに笑っている。
愛奈のやつじゃない?そのホットケーキ。
どうせ、『また作ればいい。』とか言い訳して食べちゃうんだろうけど…。
案の定すぐに、ホットケーキはレンチンされて、テーブルに登場する。
俺はとりあえず。お湯を沸かしてインスタントのコーヒーを入れる。
気が利く彼氏だ。
「わぁ ありがとう。」
ほんと子供みたい。子持ちのおばさんだって忘れそう。
「楓人君も食べる?」
「一口ちょうだい」ケーキはどうでもいい。
めぐに『あーん』してもらいたい。という下心。
相変わらず壊滅的にセンスのないホイップの飾りつけ。
それをナイフも使わず、フォークでざっくり切る。
あきれるけど、それもかわいいと思ってしまう。
その甘い塊を、別のお皿にのせようとするから、
めぐの手を制して、目の前で口を開ける。
わかるよね?めぐの『あーん』待ち
ちょっと恥ずかしそうにしてさ、いつになったら慣れてくれるの?
大人なんだしもっと余裕見せてよ。
「はい…」渋々と言った感じで、フォークに刺さった生クリームまみれのホットケーキを俺の口へと差し出す。
俺は大人だからね。口を汚すことなくそれをほおばって、飲み込む。
その様子を見届けてから、自分の分も同じようにフォークでざっくりとケーキを分けて、自分の口に入れた後、満足そうな顔を見せる。
でも、めぐは口ちっさいから、唇の端に生クリームがついてしまう。
「ほらめぐ」そう言って人差し指で、それをすくおうとして、ふと思う。
めぐをおもちゃにしたい。俺の悪い癖だ。
椅子から腰を浮かせて、めぐのあごに両手を添えて固定すると、そのまま生クリームをなめとった。
もっとエッチなこといっぱいしてるのに、めぐは真っ赤になって、目を泳がせる。
ふとめぐのデコルテが目に入る。お休みで、部屋着だからラフな感じが、妙に官能的に見えて、またまた思いついてしまう。
「ねぇめぐ」
そういってめぐに近づいて、部屋着を脱がせる。
「え?」少し驚いたのか、めぐの思考はとまってしまった。都合がいい。
さっさと下着一枚にして、テーブルの上の生クリームを鎖骨に絞る。
「ひゃっ!」冷たい感覚に、めぐが我に返る。
「…!え?や…ふうと君?」
ちょっと嫌がる感じが俺をそそる。
思わずニヤリとしてしまう。少しおびえたような顔がたまらない。
「一度やってみたかったんだよね。」そう言って。めぐの体をデコる生クリームに、顔を近づけ、ゆっくりと味わうようにそれを食む。
「…ん…」すがるように俺の襟元をつかむめぐの手に少し力がこもる。
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