勘違いすんなよ

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勘違いすんなよ

めぐはとにかく隙が 『私みたいなおばさんそうそう相手にされないよ』 と言いながら、男女構わず接している様子に、俺の気持ちはかきみだされる。 俺の思い過ごしかもしれないけど、『もしかしてこいつめぐのことすきなのか?』と思うやつもいると思う。 そんな中が現れた。 いとこだと言うそいつは、あきらと名乗った。 十何年ぶりの再開だと言ういとこに、めぐはとても喜んでいた。めぐよりかなり年上であろうそいつに、めぐは 「あきらあんちゃん!」と嬉しそうに飛び付いた。 「おぉおぉ」テンションの高いめぐに多少戸惑いながら、そして俺の方を気にしながら、あきらは、めぐの頭を撫でて、距離を取った。でも、手は握られたままだった。 「めぐ 誰?」おれは軽く会釈をしながらめぐの横に立つ。 「あっ、いとこのあきらさん」めぐに紹介されてその人は、サイドの髪の毛を少しかきあげて俺に会釈した。 「あんちゃん、この人は、今お付き合いさせてもらってるふーと君」顔を真っ赤にして俺の横に戻って来るめぐ。かわいいかよ! 「どうも」 「どうも」 お互いぎこちなく挨拶をかわす。 「あんちゃんこっちに戻ってるの?」 「いや、たまたま実家によっただけ。今伊豆にいるんだ」 「ホテル?旅館?」 「いや、飲食店だよ」 「伊豆かぁ」 「あっ明日兄貴たちと飯行くから、めぐも一緒にどう?」 俺の横でめくるめく会話が進んでいく。 「いきたいなぁ ふうと君明日は?」 ふいに話題に巻き込まれる。 「ごめん、明日は遅番だ」 「そっかぁ」 「いいよ、いっておいで、終わったら迎えに行くから」 なんとなく彼のことは気になったけど、いとこだし、彼の兄弟も一緒みたいだし、めぐも行きたそうだし。 広い心と余裕で、俺はめぐの背中を押した。 「ありがとう」全力で喜ぶめぐを見て、子どもみたいと思っていた。 翌日。 めぐから行ってきますLINEが来る。 なんとなく、昨日のあきらさんの雰囲気が気になって、仕事早く終わらそう、と思ってしまう。 仕事を終わらせて、スマホを見るタイミングでスマホがなる。めぐからだ。 「もしもしどうしたの?」 『ふーと君ん…飲み過ぎちゃって…』 電話口から、だいぶふにゃふにゃのめぐの声が聞こえる。 「もう…」 『ふーと君お迎えお願いしたいよ』 珍しく甘えんぼになってるなぁ。 「うん すぐ行くからね」そういった瞬間電話口が変わる 「もしもしふうとさん?」 あいつだ。声でわかる 「あっども」 『良ければ俺が送って行くよ』 は?いやいやダメだよ 「いや、大丈夫です。」 俺もうほぼ一緒に住んでるし。 『めぐもう、寝ちゃいそうだし』 「すぐ近くなんで、めぐの子供たちも心配するんで俺が行きます」 そういうと、電話の向こうから 『ふーと君来てくれなきゃやだ』 というめぐの声が聞こえた。 バカかわいいな。 「めぐに、変わって」 俺が思わずため口でいうと彼はしぶしぶであろう、様子でめぐに変わった。 「もしもしめぐ?、すぐ行くから待っててね」 『うん、ふーと君大好き』 こりゃだいぶ酔ってるな 「ありがとう、僕も愛してるよ」 そう言って電話を切ると、急いで居酒屋に向かう。  「いらっしゃいませぇ」居酒屋の店員に迎えられめぐたちを探す。 小上がりに、めぐのくつを見つけて駆け寄る。と、驚いたことに中は二人だけ。 え?兄弟も一緒にじゃなかったの?
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